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概要

OKR (Objectives and Key Results) とは、目標 (O) と主要な結果 (KR) を組み合わせた目標設定フレームワークです。組織の戦略と日々の業務を結びつけ、チーム全体の方向性を揃えるために活用されています。 この記事では、OKR 目標設定に必要な 6 つのステップを解説し、KPI・MBO との違い、導入メリット、部門別の設定例、失敗パターンと対策、FAQ をご紹介します。 更新: 2026年 6月、OKR と KPI・MBO の比較、OKR の失敗原因と対策、部門別 OKR 設定例、FAQ セクションを追加し、内容を改訂いたしました。

仕事において目標を設定することは、本当に意味のあることなのでしょうか?簡単に言うと、答えは「イエス」です。個人の目標でも企業全体の目標でも、目標をしっかりと設定している組織は、プロジェクトや取り組みの実行力向上による恩恵を継続的に享受しています。明確な目標があれば、素晴らしいアイデアを効果的によりよいビジネスへと変えることができるのです。

目標の導入はハードルが多いものですが、必ずしも複雑ではありません。必要なのは一貫性、熱意、計画です。この記事では、「OKR 目標設定方法は?」という質問にお答えできる、OKR 設定時のステップをひとつひとつご紹介します。OKR 目標設定は、目標を単なる名案から持続的で長期にわたる実践的なマネジメントシステムへと変える手法ですので、ぜひ今後の参考にしてみてください。

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OKR とは?

OKR は Objectives and Key Results の頭文字を取ったビジネス用語で、目標設定手法として多くの企業やチームに導入されています。日本語では「目標と主要な結果」です。

目標を設定しても、明確化していなければ毎日の仕事と目標はつながりません。OKR は「目標 (Objectives)」を「主要な結果 (Key Results)」で測定すること、つまり主要な結果を測定可能な指標とし、それをクリアしていくことで結果的に目標達成を目指す手法なのです。

OKR 目標設定は、従業員のエンゲージメントと仕事の生産性向上のために非常に効果的です。

記事: 目標と主要な結果 (OKR) とは?OKR 目標設定用のテンプレートを作成する

OKR と KPI・MBO の違い

OKR を導入する前に、すでに使われているフレームワークとの違いを整理しておくと、社内での合意形成がスムーズになります。特によく比較される KPI (重要業績評価指標) と MBO (目標管理制度) との違いを確認しましょう。

OKR

KPI

MBO

主な目的

野心的な目標への集中と整合

業務プロセスのパフォーマンス監視

個人・組織の目標管理と評価

目標の性質

定性的な目標 (O) と定量的な主要な結果 (KR) の組み合わせ

定量的な指標が中心

定性・定量どちらも可

設定サイクル

四半期 (3 か月) が標準

月次・四半期・年次と多様

年次が多い

透明性

全社・全チームで公開が原則

部門内での共有が多い

上司と本人のみが多い

柔軟性

四半期ごとに見直し・調整が可能

期中の変更は少ない

期中の変更はまれ

人事評価との連動

原則として連動させない

連動させる場合が多い

評価・報酬に直結することが多い

理想的な活用シーン

戦略的な変革期・成長フェーズ

安定運用中の業務管理

個人の責任範囲の明確化

OKR は KPI や MBO の代替ではなく、それらを補完するフレームワークです。既存の管理手法と並行して使うこともできますが、役割の違いを明確にしておくことが重要です。

OKR を導入するメリット

OKR がさまざまな企業で採用されているのは、組織の動き方を根本から変える力があるからです。具体的なメリットを見ていきましょう。

  1. 戦略と現場の整合が取れる

経営層が定めた会社全体の目標が、部門・チーム・個人の目標と一本の線でつながります。日本企業でよく起きる「現場は動いているが、会社の方向性と合っているか不明」という状況を解消できます。 2. 優先事項への集中力が高まる

1 サイクルで設定する目標は 3〜5 個に絞ります。やるべきことの数を意図的に制限することで、チームは本当に重要な仕事に集中できるようになります。 3. 透明性と信頼関係が生まれる

全員の OKR が社内で公開されることで、誰が何を目指しているかが見えます。縦のコミュニケーションだけでなく、横の連携も自然に生まれ、部門間の摩擦が減ります。 4. 変化への対応力が上がる

四半期サイクルで設定と振り返りを繰り返すため、市場や事業環境の変化に合わせて目標を調整できます。年次計画に縛られず、現実に即した動きが可能になります。 5. チームのエンゲージメントが向上する

目標設定に本人が関わること、そして達成に向けた進捗が可視化されることで、仕事への主体性が育まれます。「やらされ感」ではなく「自分ごとの目標」として取り組める環境が生まれます。

OKR の基本構造: 目標 (O) と主要な結果 (KR)

OKR は「目標 (Objective)」と「主要な結果 (Key Results)」の 2 つの要素で構成されています。この 2 つがセットになることで、「どこに向かうのか」と「どれだけ進んでいるか」が同時に測れるようになります。

目標 (Objective) とは

目標は、チームや組織が一定期間内に達成したい姿を、定性的・感情的に表現したものです。数字ではなく言葉で書くことで、メンバーの動機づけを促します。良い目標は、読んだだけで「なぜそれが重要か」が直感的にわかるものです。

  • 良い例: 「顧客が自信を持って意思決定できる体験を届ける」

  • 避けるべき例: 「売上を上げる」「コストを下げる」 (定量的すぎる、または方向性が曖昧)

主要な結果 (Key Results) とは

主要な結果は、目標の達成度を測るための定量的な指標です。1 つの目標に対して 2〜5 個設定します。良い主要な結果は、測定可能で、期末に「達成したかどうか」が誰の目にも明らかなものです。

  • 良い例: 「顧客満足度スコア (CSAT) を 72 点から 85 点に引き上げる」

  • 避けるべき例: 「顧客サポートを改善する」 (測定不可能)

ストレッチゴールという考え方

OKR では、達成率 60〜70% を「成功」とみなす考え方が一般的です。100% を目指すのではなく、少し手が届かないくらいの野心的な目標を設定することで、チームは現状を超える発想と行動を生み出しやすくなります。最初はこの感覚に違和感を覚えるかもしれませんが、OKR 本来の効果を引き出すために重要な原則です。

ステップ 1: 事業に合った OKR のルールを設定する

OKR は基本構造が柔軟に設計されているため、ほぼすべての目的に当てはめられます。OKR を融通が利かない枠組みと捉え、既定のメソッドから外れないようにする組織も多いのですが、これは失敗への近道です。

OKR 目標設定の手法を導入する前に、社内における OKR の役割について、基本的なルールを設定することをおすすめします。こういったルールは、チームや組織内で目標がどのように機能するかを定義するものと考えましょう。

具体的には「設定の頻度」「チェックインプロセス」「目標の作成」という 3 つの要素を考慮する必要があります。

  • 設定の頻度: これは単純に、目標を設定する頻度を指します。年 1 回の頻度で目標を設定すると、戦略の柱となり最も効果的です。しかし、動きの速い組織の場合は、半年ごとや四半期ごと、あるいは 1 か月ごとなど、目標の設定頻度をもっと頻繁にすることもできます。

  • チェックインプロセス: これは進捗を更新してレビューするためのスケジュールで、組織によって最適なスケジュールは異なります。目標が大きくて進行が緩やかなら、2 週間ごとや月 1 回のチェックインで十分でしょう。しかし、目標が小さく進行が速い場合は、もっと頻繁にチェックインを行う必要があります。

  • 作成: 基本的には、トップダウン (経営陣が目標と主要な結果の両方を設定する)、ボトムアップ (個々の従業員が目標と主要な結果の両方を設定する)、およびハイブリッド (経営陣が目標を設定し、個々の従業員が主要な結果を設定する) という 3 種類の基本的なモデルがあります。最適なモデルは会社の規模と構造により異なります。

推奨サイクル: 四半期 (3 か月) が標準

多くの組織で四半期サイクルが採用されています。年次サイクルでは事業環境の変化への対応が遅くなり、月次サイクルでは設定・振り返りの運用コストが高くなりすぎます。四半期はそのバランスが最もよい選択肢です。

最初の 1〜2 サイクルは四半期を試してみて、自社のリズムに合うかどうかを確認しましょう。慣れてきたら、チームの特性や事業の速度に応じて調整することも可能です。

階層設計の考え方

OKR は通常、会社全体、部門、チーム、個人の 4 階層で設計します。上位の目標が下位の目標の方向性を示し、下位の主要な結果が上位の目標達成に貢献する構造です。

小規模な組織では、個人レベルの OKR を省略し、会社全体とチームの 2 階層で運用するシンプルな構成から始めることをおすすめします。重要なのは、全員が同じ方向を向いている状態をつくることです。

ルール設定時に決めておくべきこと

導入前に以下の 3 点を組織内で合意しておくと、運用がスムーズに進みます。

  • OKR の公開範囲 (全社公開を推奨)

  • 設定・振り返りのスケジュール (四半期の開始時と終了時)

  • OKR と人事評価を切り離すことの明示 (評価と連動させないことで、野心的な目標設定を促す)

ステップ 2: 会社全体の目標を共同で作成する

OKR 目標設定の基本的なルールを設定したら、組織全体にフレームワークをロールアウトする準備は完了です。「目標」 を目指し、達成度を**「主要な結果」** によって測定するのように 1 行で要約できるものにしましょう。

まず、組織のトップレベルの目標を共同で作成することから始めます。これらは今後 1 年間の戦略の柱となり、会社の方向性の成功につながる重要で本質的な活動です。組織全体の関係者からアイデアを集め、経営幹部による綿密な分析により絞り込みます。

しかし、提案内容が制御不能にならないよう気を付けてください。さまざまな視点を持つ人々が会話に多く参加するほど、目標の数は瞬く間に膨れ上がります。

会社全体の OKR 設定例として優れているものは次のとおりです。

有望なリードの数を増やす

できるだけ頻繁に、検証可能で、明確に測定できるように目標を設計します。目標サイクルが完了したときに、各目標を達成できたかどうか、はっきりとした結論を下せる必要があります。

ステップ 3: 会社全体で目指す主要な結果を設定する

会社全体の目標 (O) を決定したら、達成へ向けた進捗を追跡する方法を考える必要があります。ここで登場するのが、主要な結果 (KR) です。

主要な結果を作成するためには、SMART の手法を使ってみましょう。

SMART な目標

SMART は、以下を表す略語です。

  • Specific (具体的) : 具体的に何を目指しているのか?

  • Measurable (測定可能) : 主要な結果を達成したかどうか、どのようにして評価するのか?

  • Achievable (達成可能) : この主要な結果は、無理なく達成できるものか?ストレッチゴールであっても、達成可能なものでなくてはなりません。

  • Realistic (現実的) : この主要な目標は、使えるリソースと時間で現実的に達成できるものか?

  • Time-bound (期限がある) : この主要な目標には、明確なタイムラインと終了日があるか?

記事: よりよい SMART な目標作成のためのヒントと実例

主要な結果はチャレンジし甲斐があるものでなくてはなりません。確実に成功するとわかっていると、それに向かって努力しないからです。OKR の第一人者である John Doerr 氏のアドバイスに従い、各期間における主要な結果の 70% を達成することを目指しましょう。それ以上を達成できる場合は、計画が慎重すぎたことを意味しています。

記事: Asana ヒント: 達成可能な目標を設定する 3 つの方法

各主要な結果において、KR の達成、一部達成、達成失敗のそれぞれの意味について共通認識を持つようにしましょう。結果を期間終了後に測定することで最大限の効果が得られます。また、成功の意味を明確にしておけば、チームは経時的に OKR 目標設定プロセスを洗練し、調整することができます。

ストレッチゴールの考え方

OKR における達成率の理想は 60〜70% です。100% 達成が続く場合は、目標の難易度が低すぎる可能性があります。「未達成」を失敗と捉えるのではなく、次のサイクルに向けた学習機会として扱う文化をつくることが、OKR を継続的に活用するための基盤になります。

主要な結果 (KR) の品質チェックリスト

良い主要な結果は、以下の条件を満たしています。

  • 具体的: 何を測るかが明確に定義されている

  • 測定可能: 数値や割合で進捗を把握できる

  • 期限付き: サイクル終了時に達成度を判定できる

  • 目標と直結: 上位の目標 (O) の達成に直接貢献する

1 つの目標に対して設定する主要な結果は 2〜5 個が目安です。多すぎると集中力が分散し、進捗管理も煩雑になります。

ステップ 4: チームと個人で目指す主要な結果を設定する

OKR 目標設定の手法を最大限に活用するには、会社の目標が組織全体に行き渡り、個々のチームや個人の仕事の指針となる必要があります。

実際のところ、目標を設定しても、四半期またはその年が終わるまでその目標を再確認しないという会社がとても多く見られます。しかし、目標が日々の仕事につながっていないと、仕事の照準がずれ、チームが目標の達成を目指すモチベーションを失ってしまうという状況が起こりやすくなります。逆に、調査によると、自分の仕事が組織の目標にどう貢献するのかを理解しているチームメンバーは、モチベーションが 2 倍も高いことがわかっています。

したがって、社内で適切な OKR 目標を設定するには、日々の仕事を会社全体の目標に確実につなげる必要があります。これを簡単に行う方法の 1 つに、ハイブリッドの目標を使用するという方法があります。このアプローチでは、エグゼクティブレベルのチームが会社の目標を設定し、個々のチームが主要な結果を設定します。チームに独自の KR を設定する自主性を与えると、そのチームは、最高の成果を上げるには何にリソースと努力を注ぎ込めばよいのかをより深く理解することができます。

記事: KPI とは?設定の仕方と適切に管理する方法を解説 (成功事例付き)

ステップ 5: 仕事を進めながら目標を追跡する

組織の目標と主要な結果を定義したら、その目標を達成するためにチームが取り組むべきプログラムやプロジェクトを選ぶ番です。

目標を設定するメリットの 1 つは、組織全体で優先順位設定をスケーリングできることです。目標をそれを達成するために成すべき仕事と結びつけることによって、目標への進捗状況を報告し、達成を妨げる可能性のある問題に対処しやすくなります。

組織の目標と日々の仕事をつなげることは、従業員の仕事へのモチベーションも向上させます。誰でも自分の仕事に意義があるのか知りたいものです。それを示す最善の方法が、それぞれの仕事を全体の目標とつなげることなのです。日々の業務がビジネスの展望の中にどう位置づけられるのかを理解すると、従業員にベストを尽くそうという意欲が生まれます。

記事: OKR のメリットを最大限に引き出す

目標の進捗情報は定期的に確認する必要があります。目標をスライド資料やスプレッドシートで設定するのではなく、会社の目標と主要な結果を簡単につなげる目標設定プラットフォームに投資しましょう。そうすることで、各チームは自分たちの仕事が会社の目標をどのように前進させているのかを知ることができます。

Asana については『1 分でわかる Asana』動画をご覧ください。

週次チェックインの方法 (CFR)

OKR の進捗を効果的に追跡するために、CFR という 3 つの要素を取り入れた週次チェックインを実施しましょう。

  • Conversation (対話) : マネージャーとメンバーが目標の進捗や課題について率直に話し合う場です。

  • Feedback (フィードバック) : 進め方や優先順位について、双方向のフィードバックを行います。

  • Recognition (承認) : 成果や努力を認め、チームの士気を維持します。

週 1 回、15〜30 分の短いミーティングで十分です。重要なのは頻度と継続性であり、会議の長さではありません。

コンフィデンススコア (信頼度スコア) の活用

各主要な結果について、現時点での達成見込みを 0〜1 のスケールで主観的に評価する方法です。0.5 以下であれば、対策を検討すべきサインと判断します。

数値での評価に馴染みがない場合は、赤 (達成困難)・黄 (要注意)・緑 (順調) の色分けで表現する方法も有効です。チームの状況に合った方法を選びましょう。

サイクル中の目標変更について

OKR は四半期を通じて固定するのが原則です。頻繁な変更は集中力を損ないます。ただし、事業環境が大きく変わった場合には、例外的に変更を認める運用も現実的です。

変更する際は、変更の理由と影響範囲を明確にし、関係者全員に共有するプロセスを設けましょう。「なんとなく難しいから変える」のではなく、「前提条件が変わったから調整する」という判断基準を持つことが重要です。

ステップ 6: プロセスを改善する

計画していたサイクルが終了しても、まだ終わりではありません。すぐに次のサイクルに入る前に、立ち止まって自分たちの主要な結果についてのフィードバックを行いましょう。個人も、自分が担当する主要な結果を責任をもって評価し、その評価について説明する簡単なレポートを書く必要があります。

すべての KR を達成できなくても大丈夫です。実際、すべての KR を達成するチームは目標設定の難易度が適切でなかった可能性があります。KR 達成率 70% を目標にしましょう。

全員が主要な結果の評価を行ったら、マネージャーはその結果を集め、目標の中に組み込みます。OKR で目標設定する多くのメリットの 1 つは透明性です。マネージャーは目標の評価を行ったら、総合的な結果を組織全体に共有することをおすすめします。

評価が完了したら、そのサイクルで何がうまくいかなかったかを掘り下げ、何が成功したかを記録します。これで、今後のサイクルでは強みをそのまま生かし、弱いところを補強できます。目標や主要な結果のいずれかを達成できなかった場合は、チームで検討会を開き、反省と学びの機会にします。

採点・評価方法 (0.0〜1.0 スケール)

サイクル終了時に、各主要な結果を 0.0〜1.0 のスケールで評価します。Google が実践してきた基準を参考にすると、以下のような目安になります。

  • 0.0〜0.3: 進捗が不十分。目標への取り組みが弱かった、または障害が大きかった可能性があります。

  • 0.4〜0.6: 相応の努力があり、部分的な成果が出ている状態です。

  • 0.7〜1.0: 成功とみなせる水準です。0.7 前後が理想的な達成水準とされています。1.0 の場合は、目標設定が保守的すぎた可能性を検討しましょう。

振り返りのための問いかけ

サイクルの最後に、チームで以下の問いについて話し合いましょう。

  1. どの OKR が予想以上に進んだか、その要因は何か。

  2. 達成できなかった OKR はどれか、障害は何だったか。

  3. 次のサイクルでルールや進め方を変えるべき点はあるか。

次サイクルへの接続

振り返りの結果は、次のサイクルの目標設定に直接反映させます。前サイクルで達成できなかった OKR を継続するか、新しい目標に切り替えるかを判断し、学びを活かした設計を行いましょう。このサイクルを繰り返すことで、組織の OKR 運用は着実に成熟していきます。

OKR が失敗する主な原因と対策

OKR の導入に取り組んだものの、うまく機能しないまま終わってしまった組織は少なくありません。失敗には共通のパターンがあります。事前に把握しておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。

  1. 目標の数が多すぎる

1 つのサイクルで設定する目標が 5〜10 個に及ぶケースがあります。OKR は「何をしないか」を決めるフレームワークでもあります。目標は 3〜5 個、主要な結果は目標ごとに 2〜5 個に厳しく絞り込みましょう。

対策: 設定会議の最後に「本当にこの四半期に必要か?」と問い直す時間を設ける。リストから削除した目標はバックログとして保管しておくと次サイクルに活用できます。 2. 難易度の設定が適切でない

現状維持に近い「やれば必ず達成できる目標」ばかり設定すると、OKR の本来の効果が出ません。一方で、現実離れした目標はチームのモチベーションを下げます。

対策: 達成率 60〜70% を狙う「ストレッチゴール」の考え方を組織全体に浸透させる。最初のサイクルでは少し保守的に設定し、感覚をつかんでから難易度を上げていく方法も有効です。 3. 目標が社内で共有されていない

OKR を設定したものの、チームメンバーや他部門に公開されていなければ、戦略的整合という OKR の最大の強みが失われます。日本企業では「目標は上司と自分だけが知るもの」という慣習が根強く残っており、透明性の確保に課題を感じる組織が多いです。

対策: 全社・全部門の OKR を誰でも閲覧できる場所に掲載する。最初は抵抗を感じるかもしれませんが、公開することで横のつながりと協力が生まれます。 4. 定期的な更新と確認が行われない

設定して終わりになるのが最も多い失敗パターンです。週次チェックインや月次レビューが形骸化すると、OKR はドキュメントとして眠ったままになります。

対策: 週次の定例ミーティングに OKR の進捗確認を組み込む。15〜30 分の短時間でも継続することが重要です。コンフィデンススコアを活用して「今どこにいるか」を常に見えるようにしましょう。

部門・職種別 OKR の設定例

実際にどのような OKR を設定すれば良いか、部門別の具体例をご紹介します。あくまでも参考例ですので、自社の状況や優先事項に合わせてアレンジしてください。

営業部門

目標 (O)

既存顧客との関係を深め、継続率と拡張収益を高める

主要な結果 1 (KR)

顧客継続率 (リテンション率) を 82% から 90% に引き上げる

主要な結果 2 (KR)

既存顧客へのアップセル成約件数を四半期で 25 件達成する

主要な結果 3 (KR)

顧客満足度スコア (NPS) を +15 ポイント改善する

人事・採用部門

目標 (O)

優秀な人材を効率よく採用し、入社後の定着率を高める

主要な結果 1 (KR)

採用リードタイム (応募から内定まで) を平均 45 日から 30 日に短縮する

主要な結果 2 (KR)

入社 6 か月後の定着率を 75% から 88% に改善する

主要な結果 3 (KR)

採用候補者の体験評価スコアを 3.8 から 4.5 (5 点満点) に向上させる

マーケティング部門

目標 (O)

ブランド認知を拡大し、質の高いリードを安定的に獲得する

主要な結果 1 (KR)

オーガニック検索からのサイト訪問数を月間 2 万件から 3 万件に増やす

主要な結果 2 (KR)

マーケティング起点の有効リード数を四半期で 300 件確保する

主要な結果 3 (KR)

ウェビナー参加者のアンケート満足度を 80% 以上に維持する

プロダクト・エンジニアリング部門

目標 (O)

ユーザーが毎日使いたくなるプロダクト体験を実現する

主要な結果 1 (KR)

週次アクティブユーザー数 (WAU) を 12 万人から 16 万人に増やす

主要な結果 2 (KR)

主要機能のページ読み込み時間を平均 2.8 秒から 1.5 秒以下に改善する

主要な結果 3 (KR)

ユーザーから報告された重大バグの解決率を四半期内で 95% 以上に保つ

OKR 導入成功事例: Google と日本企業

成功している企業を見ると、それはその企業のビジネスの核となるアイデア、つまりコアアイデアのおかげだと考えがちです。たとえば、マイクロチップを発明した Intel。オンデマンドの動画ストリーミングサービスの草分け存在の Netflix。近代的な検索エンジンを構築した Google。でも、その成功は「アイデア」だけによるものでしょうか?

ちぐはぐしたスタートアップ企業を業界のトップ企業に成長させるものは、実は元のアイデアではなく、その実行方法 であることがよくあります。

たとえば、Google は検索エンジンの代名詞 的な存在ですが、それは Larry Page 氏と Sergey Brin 氏が真新しく素晴らしいアイデアを持っていたからではありません。Google はインターネットの黎明期に登場した 18 個目の検索エンジンでした。Google が競合他社を超えることができた理由は、Page 氏と Brin 氏が並外れたフォーカスと透明性をもって実践したビジョンの実行方法にあったのです。

Google が掴んだ成功を振り返った Page 氏は、同社に成功をもたらした主な要因として、Andy Grove 氏が提唱した OKR (目標と主要な結果) を挙げています。

「OKR のおかげで、私たちは一度ならず、10 倍の成長率を達成した」と Page 氏は 2018年に Doerr 氏との共著Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家が Google に教えた成功手法 OKR で書いています。「"世界の情報を整理する"という、大胆不敵な目標の達成が見えてきたのも、OKR の功績だ」と。

Google では、各主要な結果を 0.0〜1.0 で採点し、0.7 前後を理想的な達成水準としています。この採点基準は、前述のステップ 6 で紹介したスコアリング手法の原型です。

導入事例: キャンサースキャン

予防医療事業を展開するキャンサースキャンでは、経営の OKR を Asana で管理し、会社のミッションや戦略に対する個人レベルの貢献を可視化しています。OKR と日々のタスクを連携させた結果、タスク進捗確認のための無駄な会議が削減され、チームの定例会議時間が 50% 短縮されました。全タスクの透明性を確保することで、チーム内の助け合いが自然に生まれる文化も育っています。

導入事例を見る

導入事例: チームラボ

デジタルコンテンツ制作で知られるチームラボでは、急成長に伴うタスク管理の課題を解決するために Asana を導入しました。現在はチームの KPI 達成に向けた進捗管理や、チームと個人の目標を連動させた OKR 管理の基盤として活用しています。プロダクト開発における課題解決プロセスの可視化も実現し、組織全体での目標展開に成功しています。

ケーススタディを読む

目的地だけでなく、その道のりにも注目しましょう

この記事では、OKR 目標設定の 6 つのステップをご紹介しました。ルール設定から始まり、会社全体の目標を共同で作成し、主要な結果を各階層に展開し、進捗を追跡し、サイクル終了時に振り返ってプロセスを改善する。この一連の流れを四半期ごとに繰り返すことで、組織の目標管理は着実に成熟していきます。

OKR の本質は、目標を達成すること「だけ」にあるのではありません。目標に向かって学び、調整し、チームとして成長するプロセスそのものに価値があります。最初のサイクルが完璧でなくても構いません。繰り返す中で、自社に最適な運用方法が見つかります。

まずは 1 つの目標と 2〜3 個の主要な結果から始めてみましょう。小さく始めて、経験を積みながら範囲を広げていくことが、OKR を定着させる最も確実な方法です。

記事: 目標管理制度 (MBO) とは?手順、メリットとデメリット

よくある質問 (FAQ)

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MBO (目標管理制度) とは?仕組み、メリット、デメリットを解説