スタートアップとは?定義、立ち上げのステップと成功の秘訣

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2025年6月21日
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概要

この記事では、近年注目を集める「スタートアップ」について、基本的な定義や特徴をわかりやすく解説します。また、スタートアップを成功させるために創業時に整えておきたい環境や押さえるべきポイントも紹介します。資金調達や事業計画の立て方、効率的なチーム運営に悩む方、これから起業や新規事業を始めたい方はぜひ参考にしてみてください。

スタートアップ特有の課題や成長のカギを理解し、実践的なヒントをつかむことで、事業成功への一歩を踏み出しましょう。

更新: この記事は、今後のスタートアップの方向性と展望に関する記述を含め、2025年 6月に更新されました。

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「スタートアップ」という言葉を聞いたことはあるけれど、その意味を正確に説明できますか?

経済産業省も創出を推進しているスタートアップは、単なる「新しい事業」とは異なり、独自の特徴や成長モデルを持つ企業形態です。似た言葉に「ベンチャー企業」がありますが、この 2 つの違いを明確に理解している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、スタートアップの定義や特徴に加え、ベンチャー企業との違い、スタートアップが持つメリットと将来性についてわかりやすく解説します。さらに、スムーズに新規事業を立ち上げるために必要な準備や環境づくりについても触れていきます。

これから起業を考えている方、イノベーションに関心のある方にとって、ヒントが詰まった内容です。ぜひ最後までご覧ください。

スタートアップとは

スタートアップとは、革新的なアイデアや技術をもとに、新しいビジネスモデルや市場を開拓し、短期間で急成長を目指す企業のことを指します。

語源となった英語の「Startup」には「立ち上げ」「始動」といった意味があり、ビジネス用語として広まったのはアメリカ・シリコンバレーです。Google や Facebook、Amazon など、今では巨大企業となったテック系企業も、もとはスタートアップとして誕生しました。

欧米や中国に比べ、日本のスタートアップはまだ成長の余地が大きいと言われています。しかし近年では、経済産業省による「J-Startup」など支援施策の強化や、DX の推進、社会課題の多様化などを背景に、スタートアップへの注目と期待が高まっています。

さらに、新型コロナウイルスの影響や自然災害などによって、社会のニーズが急速に変化したこともあり、柔軟かつスピーディに対応できるスタートアップは今、重要な存在となりつつあります。

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スタートアップの特徴

スタートアップには、大企業や従来の中小企業にはない、いくつかの特徴があります。ここではその中でも代表的な3つをご紹介します。

イノベーションへの挑戦

スタートアップ最大の特徴は、イノベーションの追求にあります。

既存の市場に参入するのではなく、革新的なアイデアや技術をもとに、これまでに存在しなかった新たな市場やビジネスモデルを創り出すのがスタートアップです。また、社会課題の解決や持続可能な価値創出を目指すケースも多く、オープンイノベーションや新技術の活用を通じて、自治体や大企業と連携する動きも活発化しています。

その意味で、スタートアップは DX の実現を牽引する存在ともいえるでしょう。

記事: ビジネスにおける DX とは?定義や推進ポイント、課題を徹底解説

急成長とスピード感

スタートアップは、短期間での急成長を前提に設計されるのが一般的です。

プロダクトをいち早く市場に投入し、フィードバックをもとに素早く改善、拡大を図る「リーンスタートアップ」的な手法がよく用いられます。この過程で必要な資金は、エンジェル投資家や個人投資家からの資金調達によってまかなうことが多く、金融機関からの融資は難しいケースもあります。

また、従業員のモチベーションやリスクテイクを促す手段として、ストックオプションの制度を取り入れる企業も増えています。

記事: リーンキャンバスとは?書き方などの基礎知識を解説

EXIT (イグジット) 戦略を前提とした事業設計

スタートアップは、EXIT (イグジット) 戦略をあらかじめ見据えて設計されます。

EXIT とは「出口戦略」のことで、事業の一定の成長段階で IPO (株式上場) や M&A (企業売却) を行い、投資家への利益還元や創業者の資金回収を実現することを指します。

この EXIT をゴールとして、最初からスケーラブルなビジネスモデルが構築される点が、通常の企業とは大きく異なるポイントです。

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スタートアップ企業とベンチャー企業の違い

「新しい会社」や「新規事業」を意味する言葉として、スタートアップと並んでよく使われるのが「ベンチャー企業」です。両者は似たイメージを持たれがちですが、実際には目的や成長モデルに違いがあります。

まず前提として、「ベンチャー企業」という言葉は和製英語であり、英語の venture (冒険、投機) とはやや異なる意味合いで使われています。この言葉は、もともと新規事業への挑戦を意味した「ベンチャービジネス」から派生したとされ、日本独自の文脈で発展してきました。

例えば、2000年代に政府が発表した「ベンチャー宣言」では、ベンチャーとは「起業にとどまらず、既存大企業の改革も含めた新たな挑戦」と定義されています。つまり、新興企業だけでなく、企業内の新規事業もベンチャーに含まれるのです。

スタートアップとの具体的な違いは、以下のようになります。

観点

スタートアップ

ベンチャー企業

目的

新しい市場やビジネスモデルの創出 (イノベーション)

既存の市場での成長

ビジネスモデル

独自の技術や手法による未開拓分野への挑戦

既存のビジネスモデルをベースとした運用

成長スピード

短期間での急成長を目指す

中長期的に成長を目指す

資金調達と戦略

EXIT (IPO、M&A) を前提とする

持続的な収益確保を重視し、EXIT 戦略がないことも

事業規模

大きなスケーラビリティ (拡張性) を前提にする

比較的スモールビジネスが多い傾向

ベンチャー企業は、スモールビジネスとして既存市場に参入するケースが多く、革新的な技術開発よりも、事業の堅実な運営や収益性の確保を重視する傾向にあります。これに対し、スタートアップは最初からグローバル展開や業界構造の変革を視野に入れている点が特徴です。

スタートアップの課題

国や民間事業者がサポートを進めるスタートアップですが、日本のスタートアップ事業にはまだまだ課題が多く存在します。

資金調達額の低水準

日本のスタートアップを取り巻く環境は、世界の主要国と比べてまだまだ成長過程にあります。資金調達額やベンチャーキャピタル (VC) の投資規模、さらにはユニコーン企業の数といった指標はいずれも低水準です。

このため、人材確保や設備投資に必要なリソースが不足し、スタートアップの事業継続を断念するケースも少なくありません。結果として、成功につながるはずの EXIT 戦略の成功例も限られているのが現状です。

特に、短期間で急成長を目指すスタートアップは、創業後に「深い谷」や「死の谷」と呼ばれる赤字期間を経験します。この時期を乗り越えるためのリスクマネーの安定供給が求められており、さらなるスタートアップ支援の強化が期待されています。

国内ロールモデルの欠如

日本のスタートアップエコシステムは、起業家の数自体が少ないという課題があります。

世界的に成功を収めるスタートアップが増え、それが国内でのロールモデルとなることで起業家精神や投資マインドが活性化することが理想ですが、現状はその数が十分とは言えません。これにより、新たな起業家の挑戦や資金調達の活性化が遅れている面もあり、結果としてエコシステムの成熟に時間を要しています。

人材不足と多様性の課題

多くの日本のスタートアップは、専門的なスキルや経験を持つ人材の確保に苦戦しています。特に技術者やマーケティング、経営管理など多様な分野の人材不足は、成長のボトルネックになりやすいです。

また、女性起業家や外国人起業家の割合が欧米に比べて低く、多様性の欠如がイノベーションの停滞につながっているとの指摘もあります。スタートアップ支援策としては、人材育成プログラムやダイバーシティ推進も重要なテーマです。

地域間の格差

日本のスタートアップは東京および関西圏に集中しがちで、地方のスタートアップ育成が遅れている点も課題です。

地方創生や地域経済活性化の観点から、地方に根ざしたスタートアップの支援やインフラ整備が求められています。地方におけるスタートアップエコシステムの構築は、国全体の競争力向上にもつながる重要な取り組みです。

今後のスタートアップの方向性と展望

日本のスタートアップは、資金調達や人材確保、エコシステムの成熟など、まだ多くの課題を抱えています。しかし、それらを克服し、次の段階へ進むための動きが着実に進んでいます。

今後の方向性としては、以下のポイントが注目されています。

オープンイノベーションの推進

大企業や研究機関とスタートアップが連携し、新技術や新しい価値の創出を加速させる動きが活発化しています。これにより、より幅広い市場への展開や社会課題の解決にもつながるでしょう。

地域を超えたエコシステムの強化

東京一極集中を解消し、地方のスタートアップ支援や地方創生を含む広範なネットワーク形成が進むことで、多様な挑戦が促されます。

デジタル技術とSaaSの活用

DX の加速に伴い、クラウドや SaaS を活用したビジネスモデルが増加しつつあります。スタートアップの業務効率化やスケールアップが容易になる環境が整いつつあります。

多様な資金調達手段の拡充

エンジェル投資家や個人投資家を含む幅広い資金源の確保とともに、公的補助金やアクセラレーターの活用がさらに拡大しています。


これらの動きにより、日本のスタートアップは「新たな価値」と「社会課題の解決」を両立させる重要な存在へと成長していくことが期待されています。

しかし、スタートアップの急速な成長や多様なタスクの管理には効率的なワークマネジメントが欠かせません。

そこで、プロジェクトの進行状況を一元管理し、チーム内のコミュニケーションを円滑にするツールの活用が有効です。こうしたツールを導入することで、日々の業務効率を大幅に向上させ、より迅速な意思決定と事業推進が可能になります。

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スタートアップ起業時のヒント

革新的なアイデアで起業し、事業を推進していくには、どのような点に気をつけるべきでしょうか?

資金を調達し、新規事業をスタートさせる際に押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。

明確なビジネスゴールの設定

どのようなビジネスを始めるときにも大切なのが、ビジネス目標を明確にすることです。その際、先述の EXIT 戦略の策定も忘れずに行いましょう。ゴールを設定するときには、SWOT 分析などのフレームワークを使うと便利です。

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メンバーの仕事量を適切に管理する

スタートアップでは、少ない人材で仕事を回さなければならないことも少なくありません。新規市場の開拓という魅力的な目標を掲げていたとしても、従業員のバーンアウトを招いてしまっては成功への道は険しいものとなるでしょう。そうならないためにも、社員やチームメンバーの仕事量をしっかり管理できる環境を整えておくことが大切です。

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効率的な情報共有システムの導入

短期間でスピーディな成長を狙うスタートアップだからこそ、効率的な情報共有は必須項目となります。各タスクやプロジェクトの進捗など、ステークホルダーと必ずシェアしておくべき情報はしっかりと共有できるシステムを導入しましょう。

その際、情報が散乱していては生産性の高い仕事はできません。全員がアクセスできる、整理整頓された場所で共有することがおすすめです。

仕事の「見える化」を推進する

「仕事の見える化」は必ず考慮に入れておきたいポイントです。

見える化はすべての企業にとって欠かせない要素となっていますが、既存システムの存在やトップ層の理解獲得の問題などがネックとなり、その実現はなかなか難しいのが現状です。しかしゼロからスタートするスタートアップにとっては、比較的進めやすい要素でもあります。仕事の効率化と生産性向上に不可欠な「業務の見える化」は、ワークマネジメントツールを導入し効果的に行いましょう。

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まとめ: 革新的アイデアで起業する

スタートアップの意味とその特徴をまとめ、ベンチャー企業とはどのような点で異なるのか、またスタートアップが抱える課題や起業時のヒントも解説しました。スタートアップは、革新的なビジネスモデルや市場を開拓し、短期間で急激な成長と収益を狙う事業です。最新テクノロジーの開発や働き方改革DX の推進など、世の中は日々移り変わっていきます。その社会の動きを敏感にとらえ、スタートアップのきっかけを見つけましょう。

ビジネス戦略関連なら、昨今ますます注目が集まる DX CSR などの活動、D2C に関する記事も Asana でご覧ください。

スタートアップに関するよくある質問

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