戦略と戦術の違いとは?使い分け・関係性をビジネス例で解説

寄稿者 Sarah Laoyan の顔写真Sarah Laoyan
2025年9月19日
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概要

戦略と戦術とは、目標達成に必要な2つの要素です。戦略は長期的な方向性や計画を指し、戦術はその戦略を実現するための具体的な行動や手段を意味します。本記事では、戦略と戦術の違いや関係性をビジネスシーン別の具体例や企業事例、フレームワークを交えて解説します。

最終更新日: 2026年4月。戦略・戦術・作戦の3層モデルや必要性に関するセクションを追加し、FAQ を最新の検索ニーズに合わせて更新しました。

この記事では、戦略と戦術の違いを明確にし、ビジネスにおける両者の関係性と使い分け方を解説します。ケース別の具体例や日本企業の事例を通じて理解を深め、効果的に策定するためのポイントと活用できるフレームワークを紹介します。

【この記事でわかること】

  • 戦略と戦術の違い

  • ビジネスにおける両者の関係性と使い分け方

  • ケース別具体例と企業事例を通じた理解

  • 効果的に策定するためのポイントと活用できるフレームワーク

混同されやすい「戦略」と「戦術」という用語は、もともとは『孫子の兵法』に由来する軍事用語です。以来、軍事だけでなく、ビジネス戦略など、さまざまな場面で使われてきました。ビジネスを成功に導くために必要な「戦略」と「戦術」の違いを、まずはチェックしましょう。

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戦略とは何か?

戦略とは、長期的な目標を達成するために描く大枠の方向性や計画を指します。経営戦略やマーケティング戦略といった言葉のとおり、組織やチームが「どの方向に進むのか」を示すものです。

戦略は、ゴールに向かうための地図やコンパスのような存在です。成功への道筋を大局的に描くことがポイントとなります。

戦術とは何か?

戦術とは、戦略を実行に移すための具体的な行動や手段を指します。ビジネスの文脈では、戦略で定めた方向性や方針を実現するために、チームや個人が日々行う施策・オペレーションが戦術にあたります。

チェスの例で考えると、戦略は「相手より優位に立つための駒の配置計画」であり、戦術は「その計画を実現するための一手一手の指し方」、すなわち具体的な行動です。

戦略と戦術の違い

戦略と戦術は混同されやすいですが、明確な違いがあります。以下の表で主な違いを整理します。

項目

戦略

戦術

範囲

組織全体・長期的

特定の施策・短期的

期間

数年単位

数週間〜数カ月

抽象度

高い(方向性・目的)

低い(具体的な行動)

意思決定者

経営層・リーダー

現場担当者・チームリーダー

戦略は「どこを目指すか」を示し、戦術は「どう動くか」を定めます。両者は目的と手段の関係にあり、どちらが欠けても成果につながりません。

戦略と戦術の関係性

『孫子の兵法』で孫子はこう説いています。「私が勝利した戦術はみな理解しても、勝利の要因となった戦略を理解できる者はいない。」戦術は具体的でわかりやすい一方、包括的な戦略も同じくらい重要だということです。

重要なのは、戦略と戦術のどちらかを選ぶことではありません。両者は同じコインの両面であり、目標達成には両方が必要です。

戦略と戦術は、どちらか一方だけでは機能しません。

  • 戦略のみの場合: 目標を達成する計画はあっても、具体的なアクションアイテムがないため、どこにもたどり着けません。

  • 戦術のみの場合: 方向性がないまま行動するため、無目的な仕事に変化してしまいます。短期的には成果につながらないと感じ、長期的には燃え尽き症候群や職場への不満に発展することもあります。

戦略と戦術どちらが先?

ビジネスの成功や目標達成のポイントは、戦略と戦術を組み合わせることと言えます。では戦略と戦術、まずどちらから手掛ければいいのでしょうか?理想的でおすすめなのは、戦略、戦術の順番です。

まずは戦略を立てることからスタートし、それからその戦略実現のための戦術を策定するというフローを組み立てましょう。順番を逆にしてしまうと、余計なコストやタイムロスにつながる可能性もあります。

戦略と戦術は、どちらか一方ではなく両方をバランスよく組み合わせることが重要です。しかし、実際の業務では「戦略を立てたものの戦術に落とし込めない」「戦術が散漫になり戦略と結びつかない」といった課題が多く見られます。

戦略と戦術の必要性と重要性

ビジネスで成果を出すには、戦略と戦術の両方が不可欠です。戦略なき戦術は方向性を失い、目標達成につながりません。

一方、戦術なき戦略は絵に描いた餅となり、現場で実行されないまま終わります。両者が連動することで、組織は一貫した行動と成果を生み出せます。

特にチームで動く場面では、戦略で共通のゴールを示し、戦術で個々の役割を明確にすることが、パフォーマンス向上の鍵となります。

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ビジネスシーン別の戦略と戦術

戦略と戦術の基本的な違いを理解したところで、次はビジネスの現場での活用方法を見ていきましょう。

ビジネスシーン

戦略の例

戦術の例

経営

3年以内にアジア市場でトップ3のシェアを獲得する

現地法人の設立、販売網構築、現地向け製品開発

マーケティング

若年層のブランド認知度を20%向上させる

SNSキャンペーン、動画コンテンツ配信、イベント開催

経営における戦略と戦術

経営における戦略は、会社全体の長期的な方向性を定める羅針盤です。たとえば「3年以内にアジア市場でトップ3のシェアを獲得する」といった目標が戦略にあたります。

これに対し戦術は、その戦略を実現するための具体的なアクションプランです。現地法人の設立、主要都市での販売網構築、現地ニーズに合わせた製品開発などが戦術となります。

マーケティングにおける戦略と戦術

マーケティングにおける戦略は、「若年層のブランド認知度を20%向上させる」といった、特定のビジネス目標を達成するための全体的なアプローチです。

この戦略を達成するための戦術として、インフルエンサーを起用したSNSキャンペーンの実施、ターゲット層に響く動画コンテンツの制作と配信、大学キャンパスでのプロモーションイベントの開催などが考えられます。

人事チームにおける戦略と戦術の例

戦略

人事面接で、テクノロジー分野において歴史的少数者のコミュニティから採用候補者を 20% 増やす。

戦術

・STEM 教育に着目している歴史的少数者コミュニティに出資する。 ・ブートキャンプや職業専門学校など、その他の教育を受けている学生のために機会を創出する。 ・プラットフォームに、少数者コミュニティをターゲットとする募集職種を定期的に掲載する。

デジタルマーケティングチームにおける戦略と戦術の例

戦略

トライアル登録数を 30% 増加させる。

戦術

・50% スクロール率で無料トライアルのポップアップを表示し、ウェブページでの認知度を高める。 ・トライアル登録毎に、無料の電子書籍ダウンロードサービスを提供する。 ・SNS マーケティングを通して、トライアル登録のプロモーションを行う。

ウェブ開発チームにおける戦略と戦術の例

戦略

サイトページの読み込み速度を 1 秒短縮する。

戦術

・ページの読み込み速度に影響している余分なコードを特定し、代替の方法で対策する。 ・ページ上の画像サイズを 1MB 未満に削減する。 ・ページのリダイレクト回数を削減する。

大企業と中小企業における戦略と戦術の違い

企業の規模によって、戦略と戦術のどちらに重点を置くかが異なります。どちらも重要ですが、リソースや市場での立ち位置によってアプローチが変わります。

企業規模

重視する傾向

理由

大企業

戦略

組織全体の一貫性を保つ必要があり、方針変更が難しい

中小企業

戦術

小回りが利き、市場変化に素早く対応できる

大企業が戦略を重視する理由

大企業では、多くの部門やチームが関わるため、組織全体で一貫した方向性を保つことが不可欠です。市場への影響力が大きい分、一度決めた方針を簡単に変えることは難しく、慎重な戦略策定が求められます。

中小企業が戦術を重視する理由

中小企業はリソースが限られているため、迅速な意思決定と行動が求められます。小回りが利くため、戦術を柔軟に変更しながら成長の機会を模索できます。

効果的な戦略を立てるポイント

効果的な戦略を立てるには、いくつかの重要なポイントがあります。経営者やプロジェクトマネージャーとして、チームに目標達成への方向性を示すために押さえておきましょう。

目標を明確に定義する

優れた戦略は、明確に定義された目標をもとに設定されます。何を達成すべきか正確に知っていれば、有効な戦略を立てることも容易になります。最終目標がないまま戦略を立てようとするのは、コースを知らずにレースに出るようなものです。

過去のデータや詳細なリサーチで裏付けする

優れた戦略は、よく練られ、計画され、非常に詳細なリサーチに基づいています。強力な長期戦略を立てるなら、過去の経験から収集した情報やデータを今後の意思決定プロセスに生かすことが重要です。

たとえば、ビジネスに季節性がある業界があります。こうした条件を自社の有利に活かす方法を知っていることは、過去のデータをうまく活用する、優れた戦略的思考の好例です。

コンティンジェンシープランを組み込む

戦略の成功は、期待する成果が得られるかどうかで決まりますが、戦略が計画通りに進まない場合はどうするかを前もって考えておくのも重要です。ここで登場するのがコンティンジェンシープランです。

戦略にコンティンジェンシープランを組み込むことで、障害が起きた場合の計画を立てられます。チームはそうしたトラブルを乗り越える際に取るべき対策を把握できるので、プロジェクトが完全に頓挫することを回避できます。

優れた戦術を策定するポイント

効果的な戦略があっても、それを実現する戦術があやふやでは目標達成は難しくなります。優れた戦術を策定するためのポイントを確認しましょう。

短期的に計画する

長期計画である戦略に対し、戦術は小さな目標をクリアしていくための短期的なステップです。戦術を計画することは、戦略計画を短期のアクションに分解するプロセスと言えます。

戦術の目的は戦略の実現である

今とっている戦術が戦略にどう貢献しているかわからない場合、その戦術は戦略に合っていない可能性があります。取り組む仕事は、達成したい目標に明確に貢献するものでなければなりません。

OKR を用いれば、短期的戦術が長期ビジョンにどう結び付くかが明確になります。OKR では主な目標を 1 つ設定し、それを達成するための主要な結果を複数設定します。

実行可能かつ期限のあるアクションに設定する

戦術は、決まった期間内で実行することに向いています。多くの目標設定戦略と同じく、戦術も締め切りを設定することによって、一定期間内に確実に完了できます。実行可能で期限のある戦術を作成するには、SMART な目標のメソッドを試してみましょう。

戦略と戦術の策定に役立つフレームワーク

戦略に役立つフレームワーク

戦略を策定する際には、まず自社の強みや弱みを把握し、外部の市場環境や競合他社の動きを理解することが欠かせません。こうした分析を通じて、自社が発揮できる優位性を見極めることができます。代表的なフレームワークは以下のとおりです。

SWOT 分析

SWOT分析では、自社の強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、市場環境から生じる機会 (Opportunities)、競合他社などによる脅威 (Threats) を整理します。これにより、どの領域で優位性を確立できるかを検討できます。

3C 分析

3C分析では顧客・市場 (Customer)、競合他社 (Competitor)、自社 (Company) の 3 つの視点から環境を分析し、競争上の優位性を導き出すフレームワークです。特に新規市場に参入する際に有効です。

PEST 分析

政治 (Political)、経済 (Economic)、社会文化 (Socio-cultural)、技術 (Technological) といったマクロ環境を把握し、長期的な市場環境の変化を戦略に取り込む手法です。

これらのフレームワークを組み合わせることで、自社にとって最適な戦略の方向性を明確にできます。

戦術に役立つフレームワーク

戦術の策定では、戦略で定めた方針を「具体的なアクション」に落とし込み、チームレベルで実行可能にする必要があります。以下のフレームワークが役立ちます。

SMART 目標

目標を具体的 (Specific)、測定可能 (Measurable)、達成可能 (Achievable)、現実的 (Realistic)、期限がある (Time-bound) ものに設定し、戦略を実務に変換します。

KPI ツリー

戦略目標から逆算して数値目標を分解し、部門やチームごとのアクションにつなげます。競合他社に勝つための優位性を維持するには、KPI を的確に設計することが重要です。

WBS (タスク分解)

WBSはプロジェクトを小さな作業単位に分け、誰がどのような行動を取るか明確にします。これにより、市場環境が変化しても柔軟に対応できる体制を構築できます。

  • 戦略フレームワーク: 市場環境や競合他社を分析し、自社の強みを活かして優位性を築くためのもの

  • 戦術フレームワーク: 戦略を具体的な行動に落とし込み、日々の業務で実行するためのもの

両者を一貫して扱うことで、戦略が机上の空論に終わらず、戦術も目的を見失わずに進められます。

具体的な企業の事例

ここまで戦略と戦術の違いや策定時のヒント、実務で活用できるフレームワークを解説してきました。では、実際の日本企業ではどのように戦略を立て、それを戦術として具体的な行動に落とし込んでいるのでしょうか。

ここでは、サントリー株式会社と株式会社ユーグレナの事例をもとに、戦略策定から施策実行までの具体的な取り組みを紹介します。

サントリー株式会社: 事業戦略と戦術の具体例

サントリーは、日本を代表する食品飲料企業で、経営理念に「水と生きる」という価値観を掲げ、経営ビジョンとして健康、環境、文化に貢献する企業を目指しています。

事業戦略と戦略策定

サントリーは長期的な事業計画の中で、国内外市場でのポジショニングを明確化し、健康志向や高付加価値商品の開発に注力。特に、健康飲料市場におけるコストリーダーシップ戦略と差別化戦略を組み合わせることで、安定した収益を確保しています。

具体的な戦術、手段、方法

戦略を実現するために、サントリーは以下のような具体的な施策を立てています。

  • 新商品の商品開発と発売スケジュールの最適化

  • ターゲットとなる顧客層や見込み客に向けた Web 広告や SNS マーケティングの活用

  • 国内外の販売チャネルでのプロモーションとキャンペーン

このように戦略で定めた方向性を具体的な行動に落とし込み、実務レベルで効果を上げています。

株式会社ユーグレナ: 新規事業の戦略と戦術

バイオベンチャー企業のユーグレナは、微細藻類「ユーグレナ」を活用した健康食品と化粧品の開発を行う中小企業です。

戦略策定

ユーグレナは、持続可能な社会の実現を経営理念に掲げ、長期的な経営ビジョンのもとで、バイオ事業を中心とした成長戦略を策定しています。

具体的な戦術、手段、方法

戦略を実現するため、以下の具体的な戦術を展開しています。

  • BtoC 向けに Web 広告や EC サイトを活用した販売促進

  • 健康食品市場での顧客層分析に基づいた新商品企画

  • 学術研究や自治体と連携した啓発イベントの実施

  • 事業承継や次世代経営人材の育成を含む長期的な組織強化

これらにより、ユーグレナは戦略で定めた方向性を具体的な施策に落とし込み、事業成長につなげています。

戦略と戦術の一貫した連携は、成長期のデジタル企業においても重要な課題です。teamLab の取り組みは、その実践例として参考になります。

teamLab は、成長するデジタルコンテンツ企業として、Slack ベースの場当たり的なタスク管理から、OKR と KPI を活用した構造的な目標管理へ移行しました。チーム KPI (戦術) を組織全体の OKR (戦略) に紐づけることで、戦略と戦術の一貫した連携を実現しています。

teamLab の事例を詳しく見る

複数の大規模プロジェクトを並行して管理する場面でも、戦略と戦術の連動が実行精度を左右します。Sansan の Eight 事業部の事例がその好例です。

Sansan の Eight 事業部は、複数の大規模イベント (Meets, Climbers, DX CAMP) を運営する中で、スプレッドシート管理からプロジェクトテンプレートを活用した管理へ移行しました。戦略的なイベント目標と日々のタスク管理を結びつけることで、実行精度を向上させています。

Sansan の事例を詳しく見る

戦略と戦術を活かしたチーム成果の最大化

戦略と戦術の違いを理解し、両者をバランスよく組み合わせることが目標達成への近道です。本記事で紹介したポイントを参考に、効果的な戦略と戦術を立てましょう。

優れた戦略と戦術への第一歩は、きちんと整理された計画から始まります。ワークマネジメントツールを使えば、日々の戦術と長期戦略を簡単に結びつけ、チーム全体で情報を共有できます。

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