クライアントの仕事をするときは、チームがどのように時間を費やしているかを追跡することが、収益性を維持するために不可欠です。 稼働率とは、チームの使える時間のうち、どれほどの時間が請求可能な仕事に費やされたのかを示すものです。稼働率を把握することで、非効率な点を特定し、仕事量のバランスをとり、人員配置や料金設定に関するより賢明な意思決定を行えます。 この記事では、稼働率とは何か、その計算方法、業界全体における適切な稼働率、そして実例や適切なツールを活用した稼働率の改善方法についてご紹介します。
稼働率とは、従業員の勤務可能な総時間のうち、請求可能なクライアント対応の仕事に費やされた時間の割合のことです。 請求可能時間の合計を勤務可能時間の合計で割り、100 を掛けることで計算できます。
たとえば、1 人のチームメンバーの 1 週間の勤務時間が 40 時間であり、1 週間で 34 時間分の作業をクライアントに請求する場合、そのメンバーの稼働率は 85% となります (34 ÷ 40 = 0.85 × 100)。
ここで注意しなければならないのは、社内の業務もあるため稼働率が 100% になることはないということです。 重要なのは、チーム会議、電話、トレーニング、請求可能な作業の健全なバランスです。
したがって、稼働率を計算し、トラッキングする目的は稼働率を 100% にするためではなく、勤務時間の多くを占める不要な手作業や重複作業を減らすことです。 「仕事の解剖学」インデックスによると、平均的なナレッジワーカーは勤務時間の 60% を情報の検索、承認リクエストの確認、アプリの切り替えなど、成果につながらない仕事に費やしています。 この不要な成果につながらない仕事を減らすことで、チーム全体の稼働率を上げ、よりインパクトの大きなタスクに集中できる時間を増やせます。
稼働率といえば、通常は請求可能な稼働率を指します。 しかし、もっと広い意味を持つ指標として、リソース稼働率があります。 ここでは、それぞれの違いをご紹介します。
請求可能稼働率 | リソースの利用率 | |
測定対象 | クライアントに直接請求される時間数 | 社内業務を含むすべての生産的労働時間 |
請求不可の業務を含む | いいえ | はい (トレーニング、管理業務、社内プロジェクト) |
こんな組織におすすめ | 収益を生み出す時間の管理 | チーム全体の生産性を把握する |
両方の指標を並べて追跡することで、仕事量の配分や採用に関する決断をより正確な情報に基づいて下すことができます。 請求可能な稼働率だけに注目すると、チームメンバーが重要な社内業務に多くの時間を費やしているにもかかわらず、貢献していないように見えてしまうことがあります。
チームメンバーの稼働率を計算すれば、会社の全体的な収益性がわかります。 チームメンバー 1 人の稼働率の計算は簡単ですが、会社が理想とする数値を計算するには、いくつかの計算式を使う必要があります。
チームメンバーの稼働率を計算するには、以下の基本的な稼働率の計算式を使います。
稼働率の計算式: (請求可能な時間数 ÷ 勤務時間)
たとえば、1 人のチームメンバーの 1 週間の勤務時間が 40 時間であり、1 週間で 32 時間分の作業をクライアントに請求する場合、そのメンバーの稼働率は 0.80、つまり 80% となります。
チームメンバーの稼働率は役職や生産性によって異なるため、チームメンバー 1 人の稼働率を計算するだけでは不十分です。 チームメンバー全員の稼働率をトラッキングして、会社のパフォーマンス状況をより正確に把握しましょう。
チームの稼働率が低い場合は、会社のツールやプロセス、期待要件などを確認してみましょう。 請求可能時間を削る、成果につながらない仕事の一般的な原因には、次のようなものがあります。
アプリの切り替え:平均的なナレッジワーカーは、1 日に 10~25 個のアプリを切り替えながら働いています。
手作業や反復作業:データ入力、ステータス更新、書式設定など、自動化できる可能性のある作業。
情報の検索:分断されたツール間でファイルや承認リクエスト、プロジェクトの詳細を探すのに時間を浪費すること。
アプリの切り替えがチームにとって大きな問題となっている場合は、連携できるビジネスツールを探して、チームメンバーが必要な情報をすべて 1 か所で確認できるようにしましょう。
ヒント: タイムトラッキングツールを使えばチームメンバーの指標を整理でき、計算も簡単です。 また計算から得られるデータも正確で、計算のミスも見つけやすく、修正しやすいのでおすすめです。
キャパシティ稼働率とは、チームメンバー 1 人あたりの平均稼働率のことです。 この計算式を用いることで、リソースコストを回収し、利益を上げることができるかどうかを確認できます。
キャパシティ稼働率= チームメンバーの稼働率の合計 ÷ チームメンバー人数の合計
会社の稼働率を計算するには、すべてのチームメンバーの稼働率を合計し、それをチームメンバーの人数で割ります。
チームの稼働率を計算したら、今度はそのデータを使って、利益を上げるためにクライアントに請求すべき金額、つまり適正請求レートを計算しましょう。
この計算式を使用するには、次の 3 つの数値が必要です。
リソースコスト:人件費や直接材料費、生産費などです。
間接費:間接コストで、チームメンバー 1 人あたりの金額で記載します。
利益幅:ビジネスにかかるコストを超える利益分の割合で、この計算式ではドルで表します。
通常利益幅はパーセンテージで表しますが、ドルで表すためにはリソースコストと間接費を使って以下の計算式で計算する必要があります。
ドル単位での利益幅 = (リソースコスト + 間接費) x パーセンテージ単位での利益幅
適正請求レート= ( (リソースコスト + 間接費 + 利益幅) ÷ 平均労働時間の合計 ) ÷ キャパシティ稼働率
たとえば、従業員一人あたりの人件費が 50,000 ドルで、10,000 ドルの間接費がかかり、適正利益幅が 25% だとすると、適正利益幅はドル単位では (50,000 ドル + 10,000 ドル) × 0.25 = 15,000 ドルとなります。そして平均労働時間の合計を 1,000 とすると、2 つ目の計算式の分子は 75 になります。 キャパシティ稼働率が 0.80 の場合、1 時間あたりの適正請求レートは 94 ドルということになります。
適正請求レート= [($50,000 + $10,000 + $15,000) ÷ (1,000)] ÷ 0.80
キャパシティ稼働率を計算することによってチームメンバーの労働時間の合計に対する支払い請求時間の平均が得られますが、この計算式ではその平均値が会社のコストと比較して理想的な値であるかどうかはわかりません。 収益性を高めるうえで理想的な稼働率を知るには、以下の計算式が最適です。
理想的な稼働率= (リソースコスト + 間接費 + 利益幅) ÷ (勤務時間の合計 x 適正請求レート)
理想的な稼働率を計算するためには、まずリソースコスト、間接費、収益幅を合計して、それを勤務時間の合計と適正請求レートの積で割ります。
上記の例を使って計算すると、この計算式の分子は 75,000 ドルになります。 そして分母となる 1,000 x 94 を計算すると 94,000 になります。最後に 75,000 ドルを 94,000 で割ると理想的な稼働率が出せます。この場合は四捨五入で 0.80、つまり 80% となります。 これにより、キャパシティ稼働率と理想的な稼働率が一致していることがわかります。
理想的な稼働率= [($50,000 + $10,000 + $15,000)] ÷ (1,000 x 94)
ほとんどのサービス業において、好ましい稼働率は 70~80% です。 この範囲であれば、必要な収益を確保しつつ、トレーニング、ミーティング、専門能力開発など、重要な非請求業務に十分な時間をチームが割くことができます。
しかし、誰にとっても完璧な数値というものは存在しません。 理想的な稼働率は、業界、ビジネスモデル、チーム内の役割によって異なります。 たとえば、請求単価の高いコンサルティング会社は 70% で十分かもしれませんが、クリエイティブエージェンシーは 80% を目指す必要があるかもしれません。 大切なのは、自社にとって理想的な稼働率を計算し、それをベンチマークとして使用することです。
稼働率のベンチマークは、業界によって大きく異なります。 以下に、出発点として使用できる一般的な範囲をご紹介します。
専門サービス (コンサルティング、法務、会計): 70~75%。 これらの業界は請求単価が高めである傾向があるため、稼働率がやや低くても収益性目標を達成できます。
クリエイティブおよびマーケティングエージェンシー: 75~85%。 通常、請求レートが低いため、代理店はコストを回収し、利益幅を維持するために、より高い稼働率を必要とする傾向があります。
IT サービスおよびソフトウェア開発: 75~80%。 請求可能なプロジェクト業務と社内開発業務の組み合わせにより、この範囲が一般的になります。
製造および生産業: 80~90%。 役割がアウトプットに直結しているため、より高い稼働率が求められます。
これらの数値はあくまで平均値であることを忘れないでください。 自社のコスト、請求レート、利益目標に基づいて目標を設定しましょう。
稼働率が 80% ということは、チームメンバーが作業可能時間の 80% を支払い請求対象のクライアント向けタスクに費やしていることを意味します。 一般的な週 40 時間の勤務の場合、以下のように表されます。
請求可能なクライアント対応業務に32 時間
会議、メール、トレーニング、管理業務などの社内業務に8 時間
多くの企業にとって、80% は健全な目標値です。なぜなら、重要な非請求業務に充てる時間も確保できるからです。 チームの稼働率が 80% を超えることが多い場合は、燃え尽き症候群の兆候がないか確認しましょう。 逆に、稼働率がしばしば 80% を下回る場合は、プロセスを見直して、請求可能時間を奪っている原因を特定しましょう。
稼働率は、収益性とリソース管理に直接影響するため、サービス業にとって重要な指標です。 企業が従業員の稼働率と全体的なパフォーマンスを向上させる方法を 2 つの例でご紹介します。
弁護士 75 名を擁する中規模の法律事務所である ABC 法律事務所は、クライアントが安定して増加しているにもかかわらず、成長が停滞していました。 請求可能時間の稼働率を分析したところ、平均稼働率がわずか 55% であることがわかりました。 同事務所は、この低い稼働率の原因が、プロセスの非効率性とリソースの稼働状況の可視性の欠如にあると認識しました。
これらの問題に対処するため、ABC 法律事務所は以下の変更を実施しました。
包括的なタイムトラッキングおよびプロジェクト管理ソフトウェアに投資し、請求対象時間を正確にモニタリングして、改善すべき点を特定しました。
請求効率を最適化するため、各弁護士の経験と業務分野に基づいて、明確な稼働率目標を設定しました。
非請求可能時間の定期的な見直しを行い、不要なタスクを最小限に抑え、プロセスを効率化しました。
これらの変更により、ABC 法律事務所は 1 年で平均稼働率を 75% に引き上げました。 これにより、収益が 25% 増加し、事務所はサポートスタッフを増員してサービスを向上させることができました。
XYZ マーケティングエージェンシーは、従業員数が中規模の成長中のブティックエージェンシーですが、クライアントの締め切りに間に合わせることや、収益性を維持することに苦労していました。 同社の経営陣は、従業員の稼働率が高すぎることで、従業員の過労や仕事の質の低下につながっているのではないかと疑っていました。 稼働率をトラッキングしたところ、平均が 95% であり、懸念が的中していることがわかりました。 この状況を改善するために、XYZ マーケティングエージェンシーは以下の措置を講じました。
各プロジェクトに必要な時間とリソースによりよく適応するよう、料金モデルを調整した。
ワークロードをより均等に分散し、稼働率を下げられるよう、正社員とフリーランスをさらに採用しました。
クライアントの業務に対する期待が現実的で達成可能なものであることを確認するため、より厳格なプロジェクトスコープ設定プロセスを導入した。
平均稼働率を 80% に下げた後、XYZ マーケティングエージェンシーでは、従業員の士気が高まり、仕事の質が向上しました。 クライアント満足度が 20% 上昇し、同社はサービスの質を落とすことなく、より多くのプロジェクトを引き受けることができるようになりました。
これらの例から、企業が業務上の非効率性を見つけて改善することで、財務実績と成長を向上させられることがわかります。 勤務できる時間や請求可能時間を把握し、適切な稼働率を目指すことで、企業はリソース管理と計画を改善できます。
稼働率をトラッキングすることで、請求対象の業務と請求対象外の業務のバランスを健全に保ち、収益性を高め、燃え尽き症候群を防ぐことができます。 稼働率を適切に追跡するには、ワークロード管理ソフトウェアの使用を検討しましょう。 ワークロード管理ソフトウェアを使うのは、稼働率をトラッキングする最適な方法の 1 つです。 Asana のようなツールを使用すると、誰が何をいつ行っているのかを確認できるため、仕事量のバランスを保ち、燃え尽き症候群を防ぐことができます。 この可視性により、仕事量の管理が容易になり、誰も最大勤務時間を超えないようにできます。
ワークロード管理ソフトウェアを選択する際に注目すべき主な機能は次のとおりです。
時間管理:従業員が請求対象時間と請求対象外時間を簡単に記録できます。
リアルタイムの可視性:各チームメンバーの現在のタスク、期日、割り当てられた時間を把握できます。
カスタマイズ可能なレポート:レポートやダッシュボードを使用して、ユーザー、チーム、プロジェクト、または期間別の稼働率を確認できます。
キャパシティ計画:将来のワークロードを予測し、それに応じてリソース配分を調整できます。
連携:既存のプロジェクト管理ツールや請求ツールと連携し、ワークフローを効率化します。
ソフトウェアの使用に加えて、定期的にチームと連絡を取り合い、仕事量について話し合い、必要に応じて変更を加えましょう。 これにより、稼働率を順調に維持し、従業員満足度を高めることができます。
Asana を使用してチームの仕事量を管理するチームの稼働率の低さに納得がいかないこともあるかもしれません。 しかしその原因の多くはよくないプロセス、一貫性のないコミュニケーション、内部と外部のワークロードのバランスの悪さなどにあります。 ここでは、稼働率を上げる 4 つの方法をご紹介します。
稼働率を上げるために、以下のプロジェクトマネジメントプロセスを導入しましょう。
基準となる稼働率を設定する: 基準となる稼働率を設定しなければ、チームメンバーは目指すべき稼働率がわかりません。 チームメンバーの役割に応じて、異なる基準値を設けることもできます。 たとえば、デザイナーの稼働率の基準は、人事部の部長の稼働率の基準よりも高くなるでしょう。デザイナーは通常クライアントと直接連携しており、請求対象の時間も多くなるためです。
会社全体の稼働率をモニタリングする:会社全体で稼働率のトラッキングを行うことで、生産能力はどのくらいなのか判断がしやすくなり、チームメンバーの余剰時間を把握できます。 また、全社規模でトラッキングを行うと他のチームの時間が余っているかどうかも確認できるため、フリーランスを雇わずに請求可能な作業を完了できる可能性があります。
成果につながらない仕事を減らす:成果につながらない仕事を減らすことは、稼働率を上げるうえで非常に重要です。 社内業務に費やす時間はゼロにはなりませんが、プロジェクトマネジメントのベストプラクティスやタイムマネジメント術を取り入れることで、無駄な仕事に費やす時間を減らせます。
タイムトラッキングツールを使用する:このツールを使用すると、チームメンバーが特定のクライアントにタスクの料金を請求したり、タスクを会社のスケジュール内に予定したりできるため、稼働率の向上につながります。 時間を管理することはチームメンバーが時間の使い方を意識して、それぞれの基準値に到達できるよう心がけるきっかけにもなります。
稼働率はチームメンバーや会社のパフォーマンスを評価するために、把握しておくべき重要な指標です。 稼働率が高ければ、運用コストを回収しやすく、継続的に利益を増やすことができます。一方で稼働率が低い場合は、プロセスに何らかの問題があるサインかもしれません。
全体の稼働率を把握するには、チームメンバーにかかった時間を報告してもらい、しっかりとしたプロセスを導入するのが最適です。 タスクにかかった時間をリアルタイムで報告できれば、リソースを管理しやすくなり、タイムマネジメントに関してもより明確に把握できます。
チームの時間の使い方をより可視化する準備はできましたか? Asana を使い始め、ワークライフバランスを保ち、集中力を維持し、生産性を高めるために必要なツールをチームに提供しましょう。
Asana を使用してチームの仕事量を管理する稼働率は、週次または月次で追跡する必要があります。 定期的にモニタリングすることで、傾向を把握し、仕事量を調整し、収益性や従業員の幸福度に影響が及ぶ前に問題に対処できます。
はい。従業員が残業をしたり、通常の勤務スケジュールよりも多くの時間を請求したりする場合、稼働率は 100% を超えることがあります。 しかし、稼働率が常に 100% を超えている状態は持続可能ではなく、リソース計画の不備、人員不足、またはクライアントの期待が現実的でないことを示している可能性があります。
稼働率は、請求対象時間と請求対象外時間のバランスに影響を与えることで、プロジェクトの収益性に直接影響します。 稼働率を最適化することで、従業員の満足度と仕事の質を維持しながら、プロジェクトの収益性を確保できます。
稼働率は、チームメンバーの使える時間のうち、どれだけの時間が請求可能な仕事に費やされたのかを測る指標です。一方、生産性は、請求可能かどうかに関わらず、チームメンバーがどれだけ効率的にタスクを完了したかを測る指標です。 チームメンバーは社内プロジェクトで高い生産性を発揮しながらも、稼働率が低い場合があります。そのため、両方を追跡することで、パフォーマンスをより総合的に把握できます。
コンサルタントやデザイナーのようなクライアント対応の職務は、仕事の多くが請求対象となるため、通常 75~85% の稼働率を目標としています。一方、人事や財務のような社内職務は、当然ながら稼働率が低くなります。 職務別のベンチマークを設定することで、組織全体でパフォーマンスを公平に評価できます。
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