ボブ・ディランの作品に「The times they are a-changin' (時代は変わる)」という歌がありますが、これはとても的を射た言葉です。そして、「時代」の話ではありませんが、多くのマネージャーは、プロジェクトも変化していくことを知っているはずです。最初から最後まで変化のないプロジェクト計画というのは、なかなかありません。チェンジオーダーのテンプレートを活用すると、そうした変更を効率的に管理できるようになります。
チェンジオーダーは、プロジェクト計画に対する変更を伝達する体系的な方法です。そうすることで、プロジェクトは順調に進み、チームは今後の進め方を理解できるようになります。この記事では、チェンジオーダーのテンプレートの作成方法をご紹介します。このテンプレートを活用することで、どのような障害が発生しても対応できるようになります。
プロジェクト管理ではチェンジリクエストとも呼ばれる「チェンジオーダー」とは、プロジェクト計画に対する変更を正式に文書化したものです。「チェンジオーダー (変更指示書)」は、通常、建設業界で使われる用語ですが、どの業界においても、プロジェクトが当初のプロジェクトスコープからどのように逸脱するかを説明する際に使えます。
チェンジオーダーは、マネージャーや関係者などが求める変更のタイプと、その変更がプロジェクトの成果物、価格、スケジュールにどのように影響するかを特定するものです。プロジェクト管理において、チェンジオーダーを作成する一般的な理由は以下のとおりです。
新たな関係者からの要望
計画の誤り、または抜け漏れ
不正確な見積もり
作業範囲 (スコープ) の変更
リソースコスト
予定外の出来事
プロジェクトのチェンジオーダーはよくあることです。慎重にプロジェクト計画を立てていても、プロジェクト作業中に予期せぬ理由でプロジェクト目標が変更されることがあるからです。変更が発生することを想定して準備しておけば、変更管理のプロセスを負担に感じることはありません。
紙のチェンジオーダーフォームを使った変更管理しか知らないという方もいるかもしれません。デジタルの変更管理なら、プロジェクトに関する他の情報とあわせて変更を記録できます。
プロジェクトの変更点を他の資料と一緒に記録することで、プロジェクト全体を通して信頼できる唯一の情報源を維持できます。デジタルプラットフォームを通じてチェンジオーダーを管理することで、次のようなメリットも得られます。
リアルタイムで当初の計画を容易に確認できる
チェンジオーダーを一度に多くの人と共有できる
チェンジオーダーを自動化されたチェンジマネジメントプロセスと連携できる
プロジェクト計画の変更が発生した時点で、予算、スケジュール、チームメンバーの作業内容を変更できる
チェンジオーダーのテンプレートをより大規模なチェンジオーダープロセスと連携する場合、デジタルフォームを使用することで、時間を節約し、明確な情報を提供できるようになります。
Asana フォームでリクエストを管理するチェンジオーダーリクエストの優先順位付けと判定方法を学ぶ前に、チェンジオーダーテンプレートの構成要素を確認しておくことが重要です。これらの構成要素を活用することで、チェンジオーダーを簡単に確認でき、リクエストされた変更内容、変更の理由、その変更がもたらすと予想される影響をすばやく把握できるようになります。
変更内容の説明: チェンジオーダーテンプレートの最初のセクションでは、当初計画されていたプロジェクトの成果物と変更内容の提案を簡単に説明する必要があります。
変更にかかるコストの明細: このセクションでは、提案する変更に関連するすべてのコストをリストアップします。これらのコストには、チームメンバーがプロジェクトに取り組むための時間、必要なソフトウェア、旅費など、直接費または間接費が含まれます。
変更にかかる総コスト: 変更にかかるコストの合計額を記載する欄を設けることで、チェンジオーダーを確認する人がコストへの影響をすぐに把握できます。一部コストの合計額がわからない場合、このセクションは空欄にしても構いません。
タイムラインへの影響: このセクションでは、この変更が当初のプロジェクトタイムラインに与える影響について説明します。これには、その変更によってプロジェクトが当初の計画よりも長くかかるかどうかも含まれます。タイムラインを変更しなければならない場合、どのように関係者などに対応し、サポートする予定なのかを説明します。
署名: チェンジオーダーの確認を担当する人が署名するセクションを設けます。また、このセクションには、マネージャーの署名も必要です。
チェンジオーダーの提出と管理は密接に関連しています。関係者にチェンジオーダーのテンプレートを提供することで、変更が保証されていないこと、承認プロセスを経なければならないことを伝えられます。
プロジェクトマネージャーは、多くの場合、送られてくるチェンジオーダーリクエストを管理し、優先順位をつけるために必要な情報を探します。送られてきたチェンジオーダーを分類し、優先順位を付けるには、次のステップに従います。
チームメンバーや関係者が変更を希望していたら、そのアイデアを認め、チェンジオーダーフォームへと案内し、変更内容を文書化してもらいましょう。チェンジオーダーは、以下のようなプロジェクトに関わるさまざまな人から提出される可能性があります。
外部関係者
部門長やマネージャー
プロジェクトマネージャー
建設プロジェクトの場合は、請負業者
関係者がチェンジオーダーフォームを使ったことがない場合は、なぜこのフォームが重要なのかを説明するとよいでしょう。変更がプロジェクトの他の分野に影響する可能性があること、チェンジオーダーを使うことで、プロジェクトマネージャーやプロジェクト承認者が、リクエストされた変更が全体的なプロジェクト目標にどのように合致しているかを確認できることなどを伝えてください。
チェンジオーダーフォームを受け取ったら、それに目を通し、提出した人と変更点について話し合います。誰かが変更をリクエストした場合に最も大切なことは、その提出者とオープンなコミュニケーションをとることです。
ヒント: チェンジオーダーとプロジェクトの変更内容はすべて、プロジェクト管理ソフトウェアで一元管理しましょう。そうすることで、チームがすべてのプロジェクト情報を信頼できる唯一の情報源で確認できます。また関係者が新しいチェンジオーダーを提出した際に、プロジェクトチームの全員がその新しいリクエストを確認できます。
関係者が提出したリクエストの内容を理解したら、チェンジオーダーフォームに不足している情報を記入します。関係者は、リクエストフォームに変更内容を記述する必要がありますが、その変更にかかるコストやプロジェクトタイムラインへの影響を評価するために、プロジェクトマネージャのサポートが必要となる場合があります。
たとえば、以下の項目ではプロジェクトマネージャーのサポートが必要となる可能性があります。
変更に伴うコスト: 資金を提供するのは関係者でも、その資金やその他のリソースをどこに割り当てるかを把握しているのはプロジェクトマネージャーです。リクエストした人と変更点について話し合い、発生する可能性のあるコストのリストを作成しましょう。
タイムラインへの影響: リクエストした変更点がプロジェクトのタイムラインに与える影響を、関係者自身が把握していることはめったにありません。特定の日付までにプロジェクトを完了させたいと言われたら、スケジュールを分析し、期日がどのようにずれるかを説明する必要があります。
リクエストした人と協力すると、チェンジオーダーフォームの記入がしやすくなります。関係者にプロジェクトの仕組みについて内部からの視点を提供できる場合もあるかもしれません。
このステップでは、リクエストの全体像を見て、変更を行うべきかどうかを判断します。リクエストの内容を検討する際には、プロジェクト計画の 7 つの要素に基づき、インパクト分析を行いましょう。
目標:
この変更は、どのようにプロジェクト目標と合致するのか。
この変更によって、プロジェクト目標が達成できなくなる可能性はあるか。
成功の評価指標:
どのように成功を評価するのか。
この変更に伴うリスクはあるか。
この変更に伴うリスクは、得られるメリットに見合うものなのか。
関係者:
このリクエストの承認には誰が関わるべきか。
このチェンジオーダーを実行する場合に関与する必要があるのは誰か。
スコープ:
この変更により、当初のプロジェクトスコープから外れるか。
変更にはどれくらいのコストがかかるのか。
計画した以上にお金やリソースがかかる場合、それをどこから調達するのか。
この変更を実現するには、人員を補充する必要があるか。
成果物:
この変更を行うことで、最終製品がどのように改善されるのか。
この変更に伴うメリットは、コストやリソース、タイムラインの変更に見合うものか。
タイムライン:
この変更を行うことで、締め切りに影響は出るか。
タイムラインを変更できる柔軟性はあるか。
コミュニケーション計画:
承認された場合、この変更をプロジェクトチームにどのように伝えるか。
ヒント: プロジェクト管理ソフトウェアを使用すると、変更リクエストがプロジェクトに与える影響を可視化できます。チームの稼働率などの指標を分析し、変更がプロジェクトのタイムラインやスコープに与える影響を判断しましょう。
変更を加えると決めたら、次にそれを実現するために必要なリソースを揃える必要があります。このステップでは、次のことを意識するようにしましょう。
変更を達成するために、チームメンバーの追加が必要な場合もある。
成果物の完成に当初の予定より少し時間がかかる場合、その分、他のプロジェクトに遅れが出る可能性がある。
変更をリクエストする関係者から資金を確保しても、物理的なリソースを確保するには、ベンダーやメーカーの同意が必要になる。
設定した指定期間内に追加のリソースを確保できるようにする必要がある。
変更管理プロセスのこの段階までたどり着いたら、チームの全員がその変更に賛同しているはずです。リソースをリクエストする際に、チームメンバーや関係者にサポートを求めると、このプロセスの実施が容易になります。
全員が変更に賛同し、実施に必要なリソースが揃ったら、次に、その変更をプロジェクト計画に組み込みます。次のステップとして、以下のようなものが挙げられます。
チームの役割と責任を調整する
プロジェクトタスクとマイルストーンを追加する
プロジェクトタイムラインを変更する
プロジェクト目標と KPI (重要業績評価指標) を調整する
チェンジオーダーフォームの下部に忘れずに署名しましょう。プロジェクトのその他の文書と一緒に保管すると、後から参照しやすくなります。このデジタルファイルは、変更管理プロセスを見直す際や、今後のプロジェクトでも役立つかもしれません。
ヒント: チェンジオーダーフォームには変更管理プロセスに関わる全員が署名する必要があります。デジタルのチェンジオーダーフォームを使用することで、関係者が分散していてもチェンジオーダーを送ることができ、関係者それぞれが都合のよいときに、署名したフォームを送り返せます。
記事: ビジネスインパクト分析 (BIA) とは?4 ステップでさまざまな事態に備えるチェンジオーダーの管理が適切でないと、プロジェクトのスコープやスケジュールに予期せぬ影響が及びます。変更が発生した際に迅速かつ正確に対応するためには、あらかじめ運用ルールを整えておくことが重要です。
ここでは、チェンジオーダーを効率的に管理するための 4 つのベストプラクティスを紹介します。
チェンジオーダーのフォーマットがチームごとに異なると、記載内容にばらつきが生じ、承認プロセスが滞る原因になります。全チーム共通のテンプレートを用意することで、必要な情報が漏れなく記録されるようになります。
テンプレートには、変更内容、理由、影響範囲、対応スケジュール、承認者といった項目を含めましょう。標準化されたフォーマットがあれば、新しいメンバーでもすぐに正しい手順で変更依頼を提出できます。
定期的にテンプレートを見直し、プロジェクトの規模や業種に合った内容に更新することも大切です。
小さな変更でも、記録を残さなければ後からトラブルの原因になりかねません。口頭での合意だけでは、誰が何を承認したのかが曖昧になり、責任の所在が不明確になります。
変更の大小にかかわらず、すべてのチェンジオーダーを文書として記録しましょう。日付、変更理由、影響範囲、承認者名を明記することで、プロジェクト全体の透明性が高まります。
文書化の習慣は、監査対応や契約上の紛争防止にも役立ちます。記録が整っていれば、過去の変更履歴をすぐに参照でき、意思決定の根拠も明確になります。
チェンジオーダーを承認する前に、コスト、スケジュール、リソースへの影響を必ず評価しましょう。影響分析を省略すると、予算超過や納期遅延といったリスクが見過ごされてしまいます。
評価の際は、直接的な影響だけでなく、関連するタスクやチームへの波及効果も確認することが重要です。たとえば、設計変更が製造工程やテスト計画にどう影響するかを事前に把握しておけば、手戻りを最小限に抑えられます。
影響評価の結果はチェンジオーダーに添付し、承認者が判断材料として参照できるようにしておきましょう。
変更が承認されたら、影響を受けるすべての関係者にすみやかに共有しましょう。情報の伝達が遅れると、チーム間で認識のずれが生じ、作業の手戻りや重複が発生します。
共有すべき内容は、変更の概要、変更理由、新しいスケジュール、各担当者への影響です。関係者が多い場合は、変更内容をまとめた通知を一斉に送る仕組みを整えると効率的です。
定例ミーティングやステータスレポートの場でも、最新の変更状況を共有する習慣をつけましょう。継続的なコミュニケーションが、プロジェクト全体の整合性を保つ鍵になります。
次に、チェンジオーダーテンプレートの実例をご紹介します。今回は、マーケティング部門が新製品のリリースを計画し、その製品リリースを SNS キャンペーンを通して告知する予定の企業を例にとって説明します。当初の計画では、Instagram と Facebook に有料広告を掲載する予定でしたが、Sally Brown さんはいくつかの変更を加えたいと考えていました。
このチェンジオーダーフォームでは、これらの重要なポイントが説明されています。
SNS キャンペーンを LinkedIn へ拡大したいと考えていること
オーガニックな (有料広告を使わない) SNS 投稿をプロジェクトに加えたいと考えていること
この変更には、SNS カレンダーの作成と、オーガニックな SNS 投稿文の作成が必要であること
LinkedIn の有料広告や、SNS スケジューリングソフトウェアの有料プランを購入するために、プロジェクト予算を拡大する必要があること
プロジェクトタイムラインが変更される見込みはなく、変更の余地もないこと
プロジェクトタイムラインを順調に進めるために、チームは追加のサポートが必要だということ
このチェンジオーダーテンプレートは以下から無料でダウンロードしていただけます。チームでご活用ください。
チェンジオーダー用無料テンプレート明確な変更管理プロセスを確保することで、どんなに困難な状況でも、プロジェクトのワークフローを効率化できます。Asana のデジタルフォームを使用してチェンジオーダーリクエストを管理すると、変更点がプロジェクト管理システムに直接保存されます。これにより、仕事の調整よりも、仕事に取り組むことに時間を費やせるようになります。
Asana フォームでリクエストを管理する