リモートでのオンボーディングならではの 4 つの問題とその解決策

寄稿者 Caeleigh MacNeil の顔写真Caeleigh MacNeil
2024年1月3日
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概要

オンボーディングとは、新入社員を迎え、業務に必要な情報提供やトレーニングを実行する取り組みを指します。リモートでのオンボーディングは通常の対面でのオンボーディングと同じプロセスを採用していますが、すべてオンラインで実施します。リモートでのオンボーディングにはいくつか難点がありますが、新入社員を温かく迎え、リモートの作業環境で活躍できるようにサポートすることは可能です。その方法をご紹介します。

まずは対面で仕事をする職場に初めて出社する状況を想像してください。真新しいスーツに身を包み、必要な書類を持ってオフィスに向かいます。緊張は高まる一方です。オフィスに入るとマネージャーが歓迎してくれました。IT 部署の優秀な社員がすでにあなたのコンピューターをセットアップしてくれています。社員から握手とともに名前を告げられますが、多くて覚えられそうもありません。その後、昼食を同僚と一緒に取ったり、チームに歓迎会を開いてもらいます。

今度はリモートでオンボーディングを受ける状況を想像してみましょう。コンピューターが置かれた自分のデスク (またはキッチンのテーブル) に向かい、マグカップにコーヒーを注ぎます。緊張は同じように高まります。部屋には誰も出迎えてくれる人はいません。椅子に座り、コンピューターを立ち上げます。続いて何をすればいいのでしょうか?

これから詳しく説明します。

リモートのオンボーディングとは?

リモートのオンボーディングは、新入社員をチームに迎え、業務開始に必要な情報の提供やトレーニングを実施するプロセスを指します。実際に会えなくてもチームへの帰属意識を実感できるオンボーディングが理想です。バーチャルでのオンボーディングでは、新入社員は職務に必要なスキルを学び、組織文化を理解し、チームメイトとつながります。さらにリモートのオンボーディングでは、コンピューターやメール、チームが利用するコラボレーションソフトウェアなどの必要なツールのセットアップも行います。

記事: 最上のオンボーディングプロセスを生み出す 4 つのステップ

リモートのオンボーディングが重要な理由

新型コロナウイルスの蔓延により、ここ数年の間にリモートワークを実施する企業が爆発的に増加しています。2021年版の Gallup のレポートによると、米国では企業に勤める従業員の約半数が完全に、または一部において在宅勤務を実施しているようです。さらに、これらの従業員の 9 割がパンデミック後もある程度リモートワークを継続することを希望しています。

リモートワークにより従業員は柔軟な対応が可能になりますが、難点がないわけではありません。とりわけオンボーディングは困難です。新入社員が同僚と毎日対面で仕事できない場合、帰属意識を育むことは難しく、また新入社員の様子を窺うことも容易ではありません。またリモート勤務の新入社員は、初日からチャットやビデオ会議ツール、プロジェクト管理ソフトウェアなどのオンラインコミュニケーションツールを利用する必要があります。

しかし、オンボーディングは従業員の成功に大きな影響を及ぼします。転職サイトの Glassdoor が実施した調査では、オンボーディングプログラムに力を入れている企業は従業員の定着率と生産性をそれぞれ 82%、70% 以上改善できることが明らかになっています。つまり、リモートのオンボーディングにはさらに配慮し、新入社員が活躍する上で必要なツールと情報を確実に提供しなければなりません。幸いにも、リモートでオンボーディングを行う場合でも、計画を入念に練り、適切なツールさえあれば、優れたバーチャルオンボーディング体験を作り出せます。

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リモートでのオンボーディングの 4 つの難点とその解決策

リモート勤務の従業員にオンボーディングを実施する際は入念な計画が欠かせません。しかし、新入社員のリモートワークを成功に導くことは可能です。そこで以下にバーチャルチームのオンボーディングを実施する際に直面する可能性がある 4 つの一般的な問題とこれらの落とし穴を回避するための解決策をご紹介します。

1. テクノロジーのセットアップ

難点: リモート勤務の新入社員は自分で新しい機器をセットアップしなければならない。

対面で仕事をする際は、通常は初めてオフィスに入った時点ですでに機器のセットアップは済んでいるはずです。コンピューターには必要な機能がすでに搭載され、モニター、キーボード、マウスのセットアップも終わっています。つまり出社後すぐに仕事を始められるのです。

リモート勤務の新入社員の場合は、状況が少し異なります。実際にオフィスに行けないため、新入社員の家に必要なテクノロジー機器を送る必要があります。その後、新入社員は箱から中身を取り出し、自分でセットアップしなければならないのです。要するに、オフィス勤務と比べて、初日に考えなければならないことが山ほどあります。トレーニングを開始し、同僚と会う前に、新入社員は新しいコンピューターをセットアップし、メールやメッセージングアプリ、プロジェクト管理ツールなどの必要なシステムにアクセスする必要があります。

解決策: 新入社員にコンピューターをセットアップするための時間を与える。

ちょっとした準備をするだけで、新入社員はスムーズに、簡単にテクノロジーのセットアップを行えます。その方法をご紹介します。

  • 勤務開始日の前に新入社員に必要な機器を確実に届ける。コンピューターや電話などのテクノロジー製品を届ける必要があるなら、新入社員が入社に同意したらすぐに動き始めましょう。可能ならば、機器が届く日時を把握できるように配送物の追跡用のリンクを新入社員に提供するべきです。特に署名しなければ荷物を受け取れない場合はなおさら重要です。

  • 勤務初日の招待状を仕事用のメールアドレスに加え、個人のメールアドレスにも送信する。リモート勤務の従業員の場合、初日は必要なシステムにアクセスする作業が大半を占めます。この作業は時間がある程度かかるため、新入社員の個人のメールアカウントに招待状やビデオ会議用のリンクを送信しておきたいところです。必ず事前にこれらの招待状を送信しましょう。こうすることで、新たにチームに加わる従業員が勤務を始める前に初日のスケジュールを確認できるようになるためです。

  • 初日に IT セッションの予定を入れ、新入社員が必要なシステムにアクセスできるようサポートする。新入社員が最初にやらなければならないのは、コンピューターとコミュニケーションツール (メール、メッセージングアプリ、ワークマネジメントソフトウェアなど) にアクセスすることです。そのため、IT セッションをはじめに実施し、ツールなどについて説明しましょう。このミーティングでは発生する可能性がある問題とその解決方法について、時間を割いてじっくりと説明していきます。

  • 書面で詳しく説明する。IT 担当者とのセッションに加えて、メールやメッセージングアプリ、プロジェクトマネジメントソフトウェアなどのツールの使い方を書面で手順を追って説明するべきです。こうすることで、IT 担当者とのセッション中に必死でメモを取る必要はなくなります。手順を忘れたとしても、いつでも参照可能な文書があるため問題ありません。

新入社員向けの準備プロジェクトを介して、オンボーディング開始前に実施する必要がある事前の作業をすべて調整し、確認しましょう。こうすることで、従業員は必要なものがすべて揃った状態で初日を迎えられるようになります。

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2. 強固な文化と関係を構築する

難点: リモートチームのメンバーは孤独を感じることがある。

スタンフォード大学の Nicholas Bloom 教授が 2 年間にわたって実施した調査によると、リモートワーカーが挙げる懸念のなかで、寂しさと孤立が突出して多いことが明らかになっています。この結果は当然と言えるでしょう。リモート勤務には、給湯室で同僚と近況を話し合ったり、チーム全員で昼食を取ったりするなど、オフィスのちょっとした交流が欠けています。リモート勤務では、新入社員はたった一人で家で業務に取り組むことになり、隣に同僚はいません。スクリーン越しにつながってはいますが、オフィスで日常的に行われている交流とは無縁です。

解決策: つながりを作る時間を確保する。

幸いにもリモート勤務環境であっても孤独を克服できます。チームメイトと会社全体との強いつながりを作れるよう計画し、サポートしましょう。

  • 勤務を開始する前につながりを作る。正式な勤務開始日の前であっても、新入社員とコミュニケーションを取ることは可能です。入社の承諾を得たら、チームメンバーのメッセージ入りのカードや会社のグッズを送ることも、メールで入社を待ちわびていることを伝えることもできます。このようなやり取りにより、勤務初日の段階でチームの一員になったことを新入社員は実感できるようになるのです。

  • 挨拶のためのミーティングを企画する。新入社員は給湯室やエレベーター内で同僚に出会うことはないため、時間を割いて同僚に会う機会を設ける必要があります。ただし、これはあくまでもお互いを知るためのカジュアルな交流であり、取り立てて準備をする必要がないことを新入社員に伝えましょう。通常は 30 分もあれば充分です。新入社員の予定がミーティングだけで埋まることがないように、普段は一緒に仕事をしないチームメンバーを集めてグループミーティングを開催するとよいでしょう。その際は、ミーティングを 1 日に何度も行わなくてもよいように、入社後の 1 か月間に挨拶ミーティングを分散させるべきです。

  • 勤務開始後の数週間は頻繁に個別のミーティングを行う。オンボーディング開始後の数週間は新入社員との個別のミーティングを頻繁に実施しましょう。たとえば、週に 1 回ではなく 2 回は個別に話し合う機会を設けたいところです。そうすることで、新入社員の疑問に答え、また新しい職務への適応の度合いを把握できます。また、新入社員側から見ると、オンボーディング担当者との時間が確約されることになり、やり取りのタイミングや方法について心配しなくても済むメリットがあります。

  • 新入社員にメンターを割り当てる。新入社員にメンターを任命することで、新入社員はマネージャーの他にも話し相手が得られます。メンターには新入社員が所属するチーム (または部門横断型チーム) の同僚が任命されます。通常は、入社後の数週間においては、週に 1 回か 2 回の頻度でメンターは新入社員とミーティングを行います。メンターがいることで、新入社員は問題があれば気軽に相談できるようになります。

  • バーチャル版のアイスブレイク質問チームビルディングゲームを活用する。ビデオ通話で絆を深めることは難しいですが、少し工夫して企画を練ることで、新入社員に心を開いてもらい、チームとの関係構築を促せます。チームミーティングの最初の 5 分間をアイスブレイク質問に当てるか、別の機会に時間を取ってチームビルディングゲームを実施しましょう。少しくらいふざけても構いません。「あなたがじゃがいもだったら、どのように調理されたいですか?」「スポーツ選手だったら、どの曲を自分の応援歌にしたいですか?」などの質問で場の雰囲気をほぐしましょう。

記事: チームのコミュニケーションを改善する方法: 6 つの戦略とヒント

3. バーチャルコミュニケーションの方法を説明する

難点: 新入社員はチームとコミュニケーションを取る方法を把握していない可能性がある。

この問題は避けては通れません。リモート環境でのコミュニケーションはオフィスでのやり取りとは異なります。多くの新入社員は、新しい会社でリモートでコミュニケーションを取る行為に苦労します。なぜなら気軽にデスクに立ち寄って質問できるような環境ではないためです。リモート勤務では、メール、メッセージングアプリ、ビデオ会議ツールなどの多数のコミュニケーションツールを使いこなさなくてはなりません。そのため、どのコミュニケションツールを何の目的で利用すればよいのか確信が持てなくなります。

解決策: コミュニケーションガイドラインを提供する。

バーチャルでのコミュニケーションの場合、明確なルールを定めることが大いにプラスに働きます。以下にリモートでのコミュニケーションをわかりやすく説明する方法をご紹介します。

  • チームのコミュニケーションの方法を具体的に説明する。チームによってコミュニケーションの方法は異なるため、あなたのチームのコミュニケーションの方法を詳しく説明するガイドラインを作成しましょう。続いて、入社後 1 週間以内にガイドラインを新入社員に提供します。たとえば、特定の Slack のチャンネルではどのようなタイプのコンテンツを共有するのか、チームミーティングでの時間の使い方、ちょっとした質問があるとき、または込み入った質問があるときの連絡方法などを明記しておきましょう。その他にも、非同期コミュニケーションツールを利用するべきケースや、Zoom のミーティングを予約して話し合うべきケースについても具体的に指定しておきたいところです。

  • コミュニケーション計画を新入社員が参加するプロジェクトに用意し、共有する。コミュニケーション計画は、プロジェクト期間中にステークホルダー (関係者) に常に最新の情報を提供する方法をまとめたものです。たとえば、どれくらいの頻度で進捗状況やプロジェクトの詳しい情報を伝えればよいのか、あるいは誰にどのような情報を伝えればよいのかを定めます。コミュニケーション計画を共有することで、新入社員はチームメンバーやチームメンバー以外のステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取る方法を理解できるようになります。

  • 各コミュニケーションツールの利用に関して新入社員に期待することを決める。新入社員はメッセージにすぐに返信しなければいけないと感じがちですが、このようなプレッシャーは新入社員を苦しめ、燃え尽き症候群を引き起こす恐れがあります。そうではなく、妥当なレスポンス時間を定めるべきです。この時間は新入社員の役割と利用するツールに左右されます。たとえば、開発チームのメンバーなら緊急の Slack のメッセージに 1 時間以内に返信する必要があるかもしれません。イベントのコーディネーターなら、メールのメッセージに 1 日以内に対応することを目指せばよいでしょう。

  • プロジェクト管理ソフトウェアを使ってコミュニケーションを簡素化する。Asana の調査によると、従業員は平均で仕事中に 1 日に 10 のアプリを 25 回切り替えるようです。特に新入社員にとっては、気の遠くなるような作業です。そこで、新たに加わったメンバーに大量のコミュニケーションツールを使わせるのではなく、プロジェクト管理ソフトウェアを介してコラボレーションを一元管理しましょう。たとえば、Asana では直接タスク画面でコメントを投稿できます。そのため、メールのスレッドを行ったり来たりする必要はなく、必要な背景情報を 1 か所で確認できます。

4. 情報のオーバーロードを防ぐ

難点: リモート勤務の新入社員は、確認し、学ぶ情報の多さに圧倒される恐れがある。

新入社員が勤務の開始に伴い、大量の情報を受け取ることは普通です。ただし、リモート勤務の場合は、自分ですべての情報から大事な情報を取捨選択しなければなりません。また、新入社員は気軽にオフィス内を移動して質問することも、他のメンバーが実際にどのようにコラボレーションしているのかを確認することもできないため、大量の情報を前に無力感に襲われる可能性があります。

解決策: 新しい情報を学ぶためのガイドラインと枠組みを提供する。

枠組みを別に用意するだけで、新入社員が新しい情報に圧倒されずに済む環境を作れます。その方法をご紹介します。

  • 重要な情報を確認するためのトレーニングを予定に入れる。仕事に伴う任務を遂行する方法やチームの目標の概要などの重要な情報を伝えるための正式なトレーニングセッションを用意しましょう。情報を確認するためのミーティングを行うことで、チームメンバーは必要に応じて質問をする機会を得られます。ただし、トレーニングセッションの時間が長くなりすぎないように注意しましょう。2020年に Microsoft が実施した調査によると、バーチャルミーティングの開始後、30 分が経過するとビデオ疲れが発生するようです。つまり、30 分以降は集中力が弱まってしまいます。そのため、30 分以上のミーティングが必要なら、25 〜 30 分おきに 5 分間の休憩を挟みましょう。

  • トレーニングセッションと自由時間のバランスを取る。新入社員が新しい手法を吸収し、実践するための時間を確保するため、立て続けにトレーニングセッションを行うのではなく、分散させましょう。新入社員は会社の手順に不慣れであるため、オンボーディング開始後の数週間は特に余裕を持って時間を取る必要があります。

  • 情報を一元管理する。自由時間を利用して新入社員はプロジェクトの資料や会社の文書に目を通すことができます。すべての情報を 1 か所にまとめていると新入社員の負担を大幅に軽減できます。ここで役に立つのが Asana をはじめとするワークマネジメントツールです。Asana でプロジェクトを共有すると、チームメンバーはすべての関連するタスクやドキュメンテーション、作成者に加え、興味を持つ可能性がある他のプロジェクトも確認できます。つまり、参照資料の膨大なリストを作成する代わりに、資料をそれを使用するプロジェクトに入れておくことで、チームメンバーが自分のペースで確認できるようにするのです。

  • オンボーディングチェックリストを作成する。オンボーディングチェックリストがあると、新入社員は完了する必要があるタスクとその締め切りを確認できるようになります。たとえば、チェックリストを作って (個別ミーティング、要確認の資料などの) タスクを締め切りに基づいてセクションに分類できます。そこで便利なのがタスクを初日、最初の週、二週間目、三週間目などに区切るやり方です。Asana でチェックリストを作成すると、オンボーディングのすべての情報を一元管理できるようになります。Asana を使うと、タスクに関連するプロジェクトと背景情報を紐づけられるようになり、新入社員は必要な情報をすべて入手できます。

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優れたリモートオンボーディングのプロセスは、勤務場所に関わらず新入社員が活躍するための舞台を整える効果があります。上記のヒントを参考にして、リモート勤務の問題に取り組み、解決しましょう。入念な計画と良好なインターネットの接続環境、そして、仕事に役立つ適切なツールがあれば、リモートでのオンボーディングを成功に導けます。

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