イベントの企画、準備にAsanaを活用。必要なマイルストーンを共有し、準備漏れが無くなった
チームメンバーのリソースを把握し、最適な人員配置が可能になった
イベント事業チームにプロジェクト管理、タスク管理の文化が醸成された
Sansan株式会社が提供する個人向け名刺アプリ「Eight」の事業部はAsanaの導入で同社が複数運営するイベントの大幅な効率化を実現しました。業務の属人化を解消し、スムーズで抜け漏れの無い効率的なプロセスをチーム内に構築したAsanaの超活用術をご紹介します。
働き方を変えるDXサービスを開発・販売するSansanでは、マルチプロダクトを提供しています。その中でも近年、デジタルツールの導入で大幅な効率化に成功したチームが、個人向け名刺アプリ「Eight」の事業部です。
同部門では近年、名刺交換をはじめとしたビジネスパーソンの出会いを提供する従来のサービスと並行して、自社イベントの企画と運営によって市場の活性化を図っています。同社Eight事業部 Event Business部 New Event GroupにおいてGroup Managerを務める安齋雅矢氏は、イベント事業に関して次のように語ります。
「当社は『出会いからイノベーションを生み出す』をミッションに掲げています。イベント事業は出会いの場そのものを作る仕事です。出会うべき人同士が出会えるイベントを目指して企画・集客してきました。この事業は、今後当社の重要な柱になっていくと信じてチーム一丸となって取り組んでいます」
Event Business部では、企業の課題解決に最適なサービスが最短ルートで見つかる新しいビジネスイベント「Meets(ミーツ)」、各界のトップランナーが集結して人生の特別講義をお届けする「Climbers(クライマーズ)」、そしてDXリーダー育成を目指す参加型イベント「DX CAMP」の3つの柱を中心にイベントを運営しています。安齋氏は、DX CAMPの運営を統括、管理する傍ら、新企画の開発を主導しています。
イベントの企画と運営は、各イベントでチームが分かれており、それぞれが外部スタッフを含めて10名程度という少数精鋭で業務にあたっています。部門が立ち上がったばかりの頃、安齋氏は、イベントの準備や集客をマネジメントする立場から、業務の効率の悪さや現場での混乱がしばしば起きていることに課題を感じていました。
当時安齋氏のチームはイベントごとに、スケジュール管理のスプレッドシートを作成し、それをチームの各メンバーが更新する形でプロジェクトを進めていました。イベントを作り上げる上で達成しなければいけないマイルストーンを手作業で記録していたため、漏れや、積み残しを完璧に防ぐことはできなかったと言います。必要なクリエイティブの制作が発注されておらず、イベント開催の直前に気づいて慌てて発注する、といったこともありました。
また、スプレッドシートでは、タスクの依存関係も分からず、1つのマイルストーンに紐づいた様々なタスクを把握することはできません。
この問題は、他のイベントチームでも同様で、Climbersのチームに所属していた同社Eight事業部 Event Business部 New Event Groupの日比野秀平氏も、イベント運営業務について課題を感じていました。
電機メーカーのエンジニアからSansanに中途入社した異色のキャリアを持つ日比野氏が最初に担当したのは「Climbers 2020」のイベント運営でした。イベントの経験がないメンバーが多いこともあり、場当たり的な仕事の進め方に違和感を覚えたと話します。
「イベントの企画や運営は、ものづくりにかなり似ています。この期日までにこういうものを準備する、という要件定義があり、必要なものは全て逆算でスケジュールに落とし込みます。これはものづくりと全く同じです。ところが、当時のチームのやり方は、このように整理されたプロセスとはかけ離れていました」
問題に直面してはじめて解決に動きだすという後手の対応に疑問を感じた日比野氏は、最終の目標から逆算して、日々の業務に落とし込めるタスク管理ツールの導入が必要だと感じるようになりました。
そこで日比野氏は、Climbers 2020が終了した2020年11月、振り返りのミーティングの場で、次回イベントに向けてタスク管理ツールの導入をチームに提案。いくつかの候補から、前職で使用していたツールでもあったAsanaを選びました。「無料で10アカウントまで使用できるため、当社の1チームで使うにはちょうどよく、試しやすかったことも選んだ理由です」と日比野氏は語ります。
同社では2020年12月にAsanaの利用を開始しました。次のイベントである「Climbers 2021」の準備にあたり、日比野氏は最初にチームメンバーに対して、前回のイベントで行った業務とその日付を全てAsanaに入力を依頼しました。次回Climbers 2021の開催日を設定し、必要な全てのタスクを洗い出せば、逆算して時系列通りにタスク化が可能になると予測を立てました。企画、営業、集客、システム、クリエイティブ、運営とセクションごとに分けて、それぞれの担当者にどんなタスクがあったのかを書き出してもらうことにしました。
ところが、当初はこれがうまくいきませんでした。メンバーはプロジェクトからタスクを作って仕事を管理するというスタイルに慣れていなかったため、いつどんな仕事をしたかを認識し、管理することができていなかったのです。
日比野氏は各メンバーに寄り添いながら、過去の業務の洗い出しから、整理をしてタスク入力するところまで伴走し、少しずつ意識を変えさせることに注力しました。そして、Asanaへの入力が進むにつれて、次第に重要なマイルストーンが見えてきたといいます。
日比野氏は、Asanaを導入したもう1つの理由は、業務の属人化の解消だったと話します。
「イベントの仕事をこなしていくと、仕事が属人的になっていきます。ただし、ノウハウを属人的にしていい部分と、してはいけない部分があります。ライティングなど個人の能力によって違うものは属人化するものですが、開催スケジュールにかかわる共通のタスクは、誰もが同じクオリティで進めることができるはずです」
Asanaによってタスク管理したイベントを一度実施すれば、それを次のイベントにも流用できます。その考えを広げていくことで、部門全体の仕事のスタイルを変えられると、日比野氏は考えました。
Asanaの利用を開始した日比野氏のClimbersチームが、目に見えて変化し、成果を挙げていることを目の当たりにした同部署の安齋氏は、2021年後半に取り掛かったDX CAMPの準備段階から自身のチームでもAsanaを導入しました。
過去にClimbersチームが実施したイベントでのAsana活用プロセスをテンプレートとしてそのまま転用することができ、安齋氏のチームは、導入当初から新規のイベントを企画する際の準備時間が大幅に削減され、その効果を実感しました。
安齋氏は、マネジャーの立場としても、Asanaの効果を実感しています。「大枠のマイルストーンを決めたら、そこからサブタスクに落とします。メンバーの業務量を見ながら、無理のない範囲で仕事をアサインできるようになりました」
加えて、安齋氏が大きなメリットだと感じているのは、“仕事に対する圧倒的な安心感”です。
「イベントは1人で作るものではありません。数名のチームでやっていく以上、仕事を分担して効率的に進めていく必要があります。マイルストーンとタスクが見えない状態では、各メンバーは次にすべきことがわかりません。Asanaによって、プロジェクト全体の動きも明確になり、自分に関するタスクを各自が作れるようになったことで、メンバーの心理的安全性が高まり、チームの雰囲気もよくなりました」
Asana導入のきっかけを作った日比野氏は、Asanaによるタスク管理の効果を認めています。
「イベントに関する各業務の中で、特に集客はタスクが明確でAsanaとの相性がいい業務でした。その業務を担当した新入社員は、完成形から逆算してタスクを作る仕事の仕方が当たり前となっています。別プロジェクトへ移ってもAsanaを継続して使うというメンバーもいるほどです」
タスク管理起点の働き方は、Sansanの社内に確実に浸透している一方で、現在のところAsanaでは管理できていない業務もあると言います。
また安齋氏は、イベント事業全体を俯瞰するツールとしてAsanaを活用することを構想しています。
「私たちのチームでは、新規イベントの企画もしています。企画内容と規模感が決まったので、まずはAsanaにタスク登録し、開催までのスケジュールと、必要なリソースのシミュレーションに取り掛かっています」
Event Business部は今後、現在展開しているイベントの規模拡大も計画しています。規模を拡大しても安定したイベント運営をしていくためには、適切なリソース管理が欠かせません。
「今後は、イベント事業全体をまとめて1つのプロジェクトとして見ることで、各イベントに必要なリソースの管理をしていきます。Asanaによって、チームメンバーの心理的安全性を確保しながら、着実に事業拡大を進められると考えています」と、安齋氏は今後の展望を語りました。
安齋氏、日比野氏とそのチームが進めるAsanaの導入と、ワークスタイルの変革は、出会いを創造するEight Event Business部の事業を更なる発展へと導いています。
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