会議がまとまらないのはなぜ?鍵を握る “ファシリテーター” の役割とスキルを解説

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2025年8月7日
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概要

会議が思うように進まず、結論が出ないまま終わってしまう……そんな経験はありませんか?

本記事では、会議やチームの話し合いをスムーズに導く「ファシリテーター」の役割と重要性について、わかりやすく解説します。ファシリテーターとは何か?どんなスキルが必要なのか?どんな場面で活躍するのか?といった基本から、実践で役立つコツや、会議をさらに効率化するヒントまで網羅。会議の質を高めたい方、チームのコミュニケーションを改善したい方に役立つ内容です。

更新: この記事は、会議をさらにスムーズに進めるためのヒントを含めて 2025年 8月に更新されました。

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会議は本来、チームの生産性を高めるためのものです。しかし、意見がまとまらなかったり、同じ話が繰り返されるだけのミーティングに、大切な時間が奪われてしまうことも少なくありません。実はその背景には、優れた「ファシリテーター」の不在があるかもしれません。

会議の進め方が変われば、チームの働き方も変わります。ファシリテーターの意味や役割、メリット、求められるスキルやコツを理解して、チームの時間と力を最大限に引き出しましょう。

ファシリテーターとは何か?

まずはファシリテーターの意味から確認しましょう。

ファシリテーターとは、会議の目的を明確にし、会議中に多様な意見が出やすい環境を整えながら、スムーズに議論を進行する “進行役” のことを指します。

参加者一人ひとりが自分の意見を安心して発言できる場をつくり、議論が脱線しないよう導きながら、建設的な結論へとチームを導くのがファシリテーターの役割です。ファシリテーターがいない会議では、話があちこちに飛んだり、一部の人の意見だけが繰り返されたりして、本来の会議の目的が果たされないこともあります。そうした状況を防ぐためにも、ファシリテーターはまるで登山の “ガイド” のように、目的地までチーム全体をナビゲートする存在だとイメージしてみてください。


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ファシリテーターと混同されやすい役割

「進行役」と聞くと、似たような役割に「司会」や「ネゴシエーター」を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、これらはファシリテーターとは役割の目的や関わり方が異なります。ここでは、混同されやすい 2 つの役割と、ファシリテーターとの違いをわかりやすく解説します。

ファシリテーターと司会との違い

ファシリテーターと司会は何が違うのでしょうか?司会は、会議などをプログラム通りに進める進行役を担っています。一方のファシリテーターも同じく進行役という面を持ちますが、それだけではありません。

ファシリテーターは、単にタイムスケジュールを守るだけでなく、参加者の意見交換を促し、場の雰囲気づくりにも気を配るなど、会議そのものを「価値ある時間」に変えることを重視します。会議の質を高めるための “場づくり” が求められる点が、司会との大きな違いです。

ファシリテーターとネゴシエーターの違い

一見似ているようで異なるのが、「ファシリテーター」と「ネゴシエーター」の役割です。

ネゴシエーター (交渉者) は、対立する立場の間に立ち、利害調整や合意形成を目指す役割を担います。相手との駆け引きや譲歩のポイントを探りながら、目的に向けて合意を導くのが特徴です。

一方、ファシリテーターは特定の立場を持たず、あくまで中立的な立場で会議や議論の進行をサポートします。ファシリテーターの目的は交渉ではなく、参加者全員の発言を引き出し、共通認識をつくりながら、議論の内容を整理していくことです。

また、人間関係のバランスや心理的安全性にも配慮しながら進める点でも、ネゴシエーターとは異なる性質を持っています。

ファシリテーションとは?

ファシリテーターという言葉とあわせてよく使われるのが、「ファシリテーション (facilitation)」というビジネス用語です。

ファシリテーションとは、会議、研修、ワークショップ、プロジェクトなど、あらゆるグループワークを円滑に進めるための支援や工夫のことを指します。その目的は、参加者同士の相互理解を深め、合意形成を促し、課題の整理や問題解決につなげることです。

たとえばワークショップでは、参加者全員が安心して意見を出し合えるような場を設計し、意見の違いを乗り越えて一つの方向性に向かうようサポートする役割を担います。

ファシリテーションはあくまで「行為」であり、それを担う人がファシリテーターです。つまり、ファシリテーターはこのファシリテーションの考え方やスキルを活用して、チームや組織の対話や活動を成功に導く役割を担っているのです。

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ファシリテーターの役割とメリット

具体的にファシリテーターは何をするのでしょうか?ファシリテーターを設けるメリットと合わせて、その役割をいくつかご紹介します。

  1. スムーズな会議進行と適切な時間管理を行う

  2. ゴール達成と結論へ誘導する

  3. 参加者間の活発な意見交換を促進する

  4. 和やかな雰囲気を形成する

  5. 議論の内容を可視化し、整理する

記事: 議事録とは?正しい書き方をわかりやすく解説議事録テンプレートを作成

1. スムーズな会議進行と適切な時間管理

まず「進行役」としてのファシリテータの役割で挙げられるのが、スムーズな会議の進行とタイム管理です。高い質の会議を実現するには、まずアジェンダ通りに会議を進行していく必要があります。話が逸れたときは軌道修正が必要になり、そう促すのはファシリテーターの役目です。

また会議がダラダラと長引かないよう、時間管理を行いながら進行をするのもファシリテーターの重要な役割となります。つい議論に熱が入ってしまうこともあるかもしれませんが、そういったケースでもファシリテーターがいれば実りある会議を時間通りに進めることができるのです。

2. ゴール達成と結論への誘導

会議はただ単にやればいいというわけではありません。絶対に周知しておかなければならない情報や、必ず決定しないといけない事項や課題解決など、その都度「目的」が存在します。ファシリテーターには、こういった各会議やミーティングの目的を達成するという、誘導役としての役割もあります。

また、特定のテーマやトピックを討論し結論に結びつけるのも、ファシリテーターの役目です。意見の食い違いや話し合いの方向性がずれたときなどは、ファシリテーターの腕の見せ所です。適切に場をまとめ、軌道修正しなければなりません。優れたファシリテーターがいれば、意味ある会議を開くことができるのです。

3. 参加者間の活発な意見交換を促進

複数人が参加する会議でも、結局意見を言うのは特定の数名。そんな経験はありませんか?みなステークホルダーとして各々の立場で会議に参加しているので、参加者全員の意見を聞くことは意味のあることです。ファシリテーターには、こういったケースで参加者の意見を引き出すという重要な役割もあります。参加者同士の意見交換を活性化することで、新しいアイデアやユニークな発想が生まれるきっかけにもなるでしょう。

4. 和やかな雰囲気形成

会議の雰囲気が穏やかであれば、参加者も自分の意見を言いやすいでしょう。前項で述べた活発な参加者間コミュニケーションを促すためにも、会議の場の雰囲気を整えるのがファシリテーターの重要な役割です。特に初対面のメンバーが多くいたり、新入社員が参加しているなら、議題に入る前にアイスブレイクの時間を設けたりして穏やかな雰囲気を形成します。たとえ意見の対立が起きたとしても、腕のいいファシリテーターなら、場の空気を悪くすることなく、議論を展開していくことができます。

5. 議論の内容を可視化し、整理する

会議中に出た意見や議論の流れがそのまま放置されると、「何が決まったのか」「結局どんな意見があったのか」が不明瞭なまま終わってしまうことがあります。ファシリテーターには、ホワイトボードや付箋、メモなどを使って議論の内容を可視化し、全員が共通認識を持てるよう整理していく役割も求められます。

こうした情報の整理は、話の流れを理解しやすくするだけでなく、後の議事録作成やアクションの明確化にもつながります。参加者が「きちんと前に進んでいる」と実感できるようにサポートすることも、ファシリテーターの重要なスキルのひとつです。


ファシリテーターは、会議を単なる話し合いの場ではなく、目的達成に向けて価値ある時間へと変える存在です。時間管理から雰囲気づくり、意見の可視化まで幅広い役割を担うことで、参加者が納得し、共通認識を持って次のアクションに進む会議を実現できます。

だからこそ、今の働き方やチーム運営において、ファシリテーターの存在はますます重要になってきているのです。

ファシリテーターに必要なスキルとは?

多くのメリットがあるファシリテーターですが、優れたファシリテーターになるにはどのようなスキルが求められるのでしょうか?以下に挙げるファシリテーターのスキルを磨いて、生産的な会議を進行しましょう。

【ファシリテーターに求められる 4 つのスキル】

  1. 時間管理スキル

  2. 合意形成スキル

  3. コミュニケーションスキル

  4. 論点整理と状況把握スキル

1. 時間管理スキル

たとえ会議の段取りを完璧に把握していたとしても、予定以上に時間がかかってしまっては効率的な会議とは言えません。ファシリテーターには、限られた時間を最大限有効活用できる「時間管理スキル」が求められます。特に討論する必要があるトピックが多い場合には、時間配分に十分に気を配る必要があるでしょう。予定された会議時間を超過するのを避けることはもちろん、特定の議題に時間を取られ、他の議題に十分な時間を費やせなかったといった事態が起こらないように注意します。


あらゆる仕事を管理できるワークマネジメントツール Asana なら、会議進行中に議事録をリアルタイムで取ることができます。今後のアクションアイテムやすぐにカバーしておきたいタスクなどはその場で作成し、担当者に割り振ることも可能。時間を最大限有効に使うために、Asana を活用しましょう。

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2. 合意形成スキル

参加者の意見交換を促し、多くの意見やアイデアを引き出したところで、それをまとめられなくては「成果のない会議」となってしまいます。そこで重要なのが、ファシリテーターの合意形成スキルです。優れたファシリテーターはこのスキルを使い、結論に向けて舵を取ります。参加者の見えるところに意見を書き出し、どこに食い違いがあるのか、対立するポイントは何なのかを明確にしましょう。

3. コミュニケーションスキル

ファシリテーターは参加者の発言を引き出しながら会議を進行していきますが、そのプロセスではさまざまなコミュニケーション能力が必要になってきます。ただ参加者の意見を傾聴するだけでいいときもあれば、応答を求めたり、質問したり、自由に討論してもらうために観察したりと、ファシリテーターはその場に応じて対応していくのです。

記事: マネージャー向けコミュニケーションスタイルガイド

4. 論点整理と状況把握スキル

会議が複雑化したり、話題が散らかってきたりしたとき、いま話している内容が何なのか、どこに論点があるのかを整理して場を整える力がファシリテーターには求められます。

議論がずれていたり、優先順位が不明確なまま進んでいると感じたら、「今どこを話していて、何を決めるべきか」を明らかにする問いかけや可視化が重要です。そのためには、状況を俯瞰して把握し、課題を構造的にとらえるスキル (ロジカルシンキング) が必要になります。話が混線しやすい場面ほど、ファシリテーターの整理力が光ります。

記事: ロジカルシンキングとは?鍛え方やメリットを徹底解説

ファシリテーターは、決してチームリーダーである必要はありません。ただし、リーダーシップスキルにはファシリテーションスキルと重なるところも多くあります。リーダーシップスキルについて詳しく知りたい場合は『リーダーに必要な要素とは?リーダーの資質 15 選』をご覧ください。

優れたファシリテーターになるコツは?

もし突然上司からファシリテーターになるよう命じられても大丈夫なように、優れたファシリテーターになるための 3 つのコツをご紹介します。どれも簡単にできることばかりなので、実践してみてください。

【ファシリテーターのコツ 3 選】

  • 事前に情報を共有する

  • ゴールを明確にする

  • 中立の立場を守る

[コツ 1] 事前に、かつ適切に情報を共有する

会議の円滑な進行には、まず事前に情報共有を行うことが必要不可欠です。ここで言う「情報」とは、会議の時間や場所といったことではありません。その日の議題 (アジェンダ)、各議題の時間配分といった内容を前もって参加者と共有しましょう。同時に、参加者からの質問や疑問点、他の参加者と共有したい情報などがあれば、それもまとめて共有します。その会議で何を話すのか、議論のポイントは何かなどが前もってわかっていれば、参加者も自分の考えをまとめてから出席できるので、会議もスムーズに進みます。とりわけ、参加者に期待するアウトプット (例: 意見、資料、確認事項など) を明確にしておくと、会議本番での議論の質が高まり、時間の短縮にもつながります。


Asana など、チーム全員が使うクラウド型ワークマネジメントプラットフォームを用いれば、アジェンダの共有だけでなく、データやファイル、質問などの情報もスムーズにシェアすることができるのでおすすめです。

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[コツ 2] ゴールを明確にする

会議を開く前に、その会議で「何を達成したいのか」について考えます。会議のゴールは何かを前もって把握しておかなければ、ファシリテーターとして適切に会議を進行、サポートすることはできません。もしかしたらその会議で何か意思決定をしなければならないこともあるでしょう。そういった場合に、参加者の中に意思決定できる者はいるのか、最終的に判断できる人がいないようであれば、できる人にも参加してもらう必要があるでしょう。こういったことは、事前に「会議のゴール」が明確化していなければ分かり得ないことです。

[コツ 3] 中立の立場を守る

最後に挙げるファシリテーターのコツは、中立の立場を終始守ることです。ファシリテーターは会議の進行役であり、調整役、誘導役、サポート役などさまざまな役割を持っていますが、「参加者の一人」になってはいけません。自ら意見することはせず、また意思決定にも加わらないようにしましょう。あくまで一歩引いて、俯瞰的に会議を見守るようにします。たとえ会社のトップ層や上司が参加している会議でも、特定の発言者の意見ばかりを聞いたりせずに中立の立場を守りましょう。

ファシリテーションをもっと効果的にする方法

会議を上手く進行するには、事前準備や情報共有、時間管理など、やるべきことがたくさんあります。そこでおすすめなのが、ワークマネジメントツールを活用することです。ファシリテーターとしての負担を減らしつつ、会議の質を上げるために、Asana のようなツールが非常に役立ちます。

Asana でできること

  • アジェンダや目的をテンプレート化し、事前に参加者全員へ効率的に共有可能

  • 議題ごとにタスクや期限を設定し、責任者を明確化することで実行力を強化

  • 会議中のメモや決定事項をリアルタイムで記録し可視化することで、情報の齟齬を防止

  • 関連するファイルや資料を一元管理し、重要情報の見落としを防ぐ

  • メンションやコメント機能により、参加者間の連携を円滑に促進

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ファシリテーター関連の研修と資格制度

よく聞かれる「ファシリテーターが上手い人の特徴」。こうした人々にはいくつかの共通点がありますが、それは生まれ持った才能ではなく、学びによって身につけられるスキルであることが多いのです。

ファシリテーターとして会議を上手く進行できる人は、話しやすい雰囲気をつくり、参加者全員の意見を引き出しながら目的へと導く力を持っています。こうした力は、正しく学び、訓練を積めば誰でも習得可能です。

現在では多くの企業や教育機関が、ファシリテーション研修や養成講座を開講しており、基礎から実践まで幅広く学ぶことができます。人材育成の一環として導入する企業も増えており、チーム全体の対話力や意思決定力の向上にもつながります。

また、民間の認定資格制度を活用することで、自身のスキルレベルを客観的に把握し、ファシリテーターの育成やスキルアップの目標設定としても役立ちます。公的な資格は存在しませんが、ニーズや目的に応じて、自分に合った資格を選び、挑戦してみるのもおすすめです。

まとめ: ファシリテーターを設けて有意義な会議を行う

ファシリテーターとは何か、その意味と役割、メリット、必要なスキルをまとめました。有意義な会議を開くために、ファシリテーターの存在はとても重要です。仕事の生産性や効率性がますます求められる昨今、ファシリテーションスキルは多くの企業にとって評価すべき能力となりました。紹介したファシリテーターのコツも参考に、今後の会議をスムーズに進行できる準備を整えておきましょう。

効率的な会議の実施のためにファシリテーターと組み合わせたいのが、ワークマネジメントソフトウェアです。チーム共通の優れたツールがあれば、ファイルやデータの共有もスムーズに行えるうえ、会議のテンプレートを活用すれば効率的にアジェンダを作成することもできます。

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ファシリテーターに関するよくある質問

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