プロジェクトデザインは、プロジェクトライフサイクルの初期段階で行われ、アイデア、プロセス、リソース、成果物などを 7 つのステップで体系的に設計するものです。この記事では、詳細なリソース管理や視覚的な要素を取り入れたプロジェクトデザインを通じて、チームの作業をどのように効率化できるかをご紹介します。
更新: この記事は、プロジェクトデザインを改善するためのヒントに関するさらに詳しい記述を加え、2025年 6月に改訂されました。
プロジェクト管理では、複数の要素や成果物、部門間の連携が絡むため、参加者全員で共通認識を持つことが難しい課題となります。特に新規事業など複雑な案件では、最初の会議だけでは不十分です。
そこで役に立つのが、プロジェクトデザインです。プロジェクトデザインではフローチャートやガントチャート、タイムラインを活用し、プロジェクト計画やプロジェクト憲章を策定する前に、チームの認識を揃え、課題解決の土台を作ります。
プロジェクトを円滑に進めるために、クラウド型ワークマネジメントツールを活用しましょう。WBS 作成や工数管理もできる Asana なら、すべての仕事を 1 か所に整理できるから、業務効率が向上します。
Asana でプロジェクトを計画するメリットプロジェクトデザインは、プロジェクトライフサイクルの初期段階に位置し、アイデアやプロセス、リソース、成果物を 7 つのステップで設計します。大まかな概要をここで描いた後、プロジェクト計画で詳細を詰めていきます。
このプロセスでは、目標の定義に加え、ガントチャートやかんばんボード、フローチャートなどの視覚要素を活用し、チーム全体に目標や成果物をわかりやすく伝えます。こうした視覚的な要素は、関係者間の透明性を高め、プロジェクト憲章の策定やプロジェクトの実行可能性 (フィージビリティ) を明確にする助けとなります。
記事: フローチャート (フロー図) とは?記号、種類、書き方を解説より効果的なプロジェクト管理の方法を知りたい方は、Asana のプロジェクトマネジメントについてご覧ください。
効率的にプロジェクトを管理する方法とは?効果的なプロジェクトデザインは、7 つのステップで構成されます。これらのステップでは、目的やベースラインとなる目標の設定から、戦略の明確化、プロセスの整理までを段階的に進めていきます。これにより、プロジェクトの全体像が明確になり、実行前の土台がしっかり整います。
それでは、プロジェクトデザインを成功に導くための 7 つのステップを順に見ていきましょう。
最初のステップでは、プロジェクト目標を定義します。まずはアイデア出しを行い、大まかなタイムラインや想定される成果物を文書化することから始めましょう。
その際、関係者のニーズを考慮し、「何を解決するためのプロジェクトなのか?」を明文化します。簡潔なプロジェクトの説明や参加メンバーのリストを作成することで、関係者間の認識を統一できます。
基本的な目標がまとまったら、次はより具体的な目標の設定に進みましょう。
プロのヒント: プロジェクトデザインの作成を始めるときは、プロジェクトの方向性をはっきりと視覚化できるように SMART な目標を使います。SMART は、Specific (具体的)、Measurable (測定可能)、Achievable (達成可能)、Realistic (現実的)、Time-bound (期限がある) を意味する頭文字です。
記事: 効果的なプロジェクト目標の書き方 (実例付)次のステップでは、プロジェクトで達成すべき具体的な成果を明確にします。ここでは、ステップ 1 で定義した目標をもとに、完了すべきタスクや成果物をより詳細に絞り込みます。
たとえば、新しいランディングページを作成するプロジェクトでは、「メール登録フォームを追加する」といった成果が該当します。また、サステナビリティへの取り組みを紹介する特設ページを作成し、「SDGs に関連した活動事例を掲載する」といった形で、新たな価値を発信し、社会課題への貢献を可視化することも目指す結果の一つです。
成果と主要な成果物をプロジェクト目標と一緒に文書化したら、タイムフレームを構築します。プロジェクト管理手法を参照した上で、自身のプロジェクトのニーズに合ったものを決定することをおすすめします。
プロのヒント: 複雑なプロジェクトでは、反復作業を伴うアジャイル手法を使って大きなタスクを小さなスプリントに分割します。従来のプロジェクトの場合は、ステップバイステップのアプローチを徹底するウォーターフォール手法を使います。
この電子書籍では、組織はどのようにアジャイルを導入すれば機敏性の高い効果的な職場を作れるのかなど、アジャイルについて深く掘り下げています。
プロジェクトで達成すべき結果が明確になったら、次にリスクと制約を洗い出します。リソースの浪費やスケジュールの遅延を防ぐためにも、事前に問題の芽を把握しておくことが重要です。
この段階では、必要なツールや人員、予算、タイムフレームを確認し、それらに対する制約や潜在的なリスクを評価します。プロジェクト開始前に関係者やプロジェクトチームと連携し、想定される課題への対策を講じておきましょう。
プロのヒント: プロジェクトで浮上するリスクの分析、記録、解決には、リスク登録簿を使います。
リスク登録簿テンプレートを作成プロジェクト戦略は、全体像をチームに共有するための視覚的なロードマップです。目的や流れを明確に伝えるために、関係者と共有できるビジュアルツールを選んで整理しましょう。
代表的な視覚要素には、以下のようなものがあります。
フローチャート: フローチャートは、プロセスを実行するのに必要なステップと判断を視覚的に表現したものです。特に、ステップバイステップのアプローチを視覚化して、効果的にプロジェクト成果物を整理するのに便利です。
ガントチャート: ガントチャートは、プロジェクトのタイムラインを示すための横棒グラフです。ガントチャートの棒はプロジェクトの各ステップを意味し、棒の長さはステップの完了までにかかる時間を意味します。
作業分解構成図 (WBS): WBS は、プロジェクト内のすべてのタスクを分割して図示したものです。プロジェクトマネージャーは、WBS を使って、目標を最優先事項として意識しながらチームが成果物を視覚化できるようにします。
マインドマップ: マインドマップは、プロジェクトとタスクを視覚化するための階層構造 (枝分かれ) ダイアグラムです。マネージャーは、具体的なチーム目標といった中心的なコンセプトやアイデアに成果物をリンクできます。
PERT チャート: PERT チャート (PERT ダイアグラム) は、タスクをスケジュール、整理、計画するためのツールです。複雑なプロジェクトでの使用やタスクを完了させるのにかかる時間を推定するのに便利です。
プロジェクトの規模や性質、チームのニーズに応じて最適な視覚ツールを選びましょう。たとえば、大規模プロジェクトでは WBS、小規模でシンプルな案件ではフローチャートが効果的です。
プロのヒント: プロジェクトデザインに追加する視覚要素を 1 つ決める前に、各種視覚ツールのコンポーネントの機能を評価しましょう。各ツールを、表現できる詳細の量、使いやすさ、外観などを基に評価します。そうすれば、ニーズに一番合ったものが見つかります。
WBS を作成して効率的なプロジェクト管理を行う方法このステップでは、プロジェクト予算を推定し、リソース配分を開始します。予算には、プロジェクトの収益性、利用可能なリソース、アウトソーシングする必要がある作業を盛り込みます。各成果物を制作するには、経営陣によって決定された数字の範囲内でやりくりすることが必要になる場合もあります。
予算は、経営陣のサインオフに応じて、承認または変更が必要になる場合もあります。予算を決定したら、予算の受領者、デザインドキュメント、プロジェクトのタスクを割り当てることができます。
プロのヒント: リソース配分については、オートメーションソフトウェアを使って各プロセスを自動化すれば、効率を高め、プロジェクトにおけるミスを減らせます。
「承認プロセスがスムーズに進まない」「承認依頼メールを送っても返事がない」そんな悩みはありませんか?Asana では、「承認」を担当者と期日付きのタスク「承認リクエスト」として作成し、プロジェクト計画の一部に組み込むことができます。
スムーズな承認フローシステムを構築する方法タスクの割り当てを開始するには、コンティンジェンシープランを作成します。コンティンジェンシープランは、本プロセスのステップ 3 でまとめたリスクと制約に対処するためのバックアッププランです。問題発生時に系統立ったプランがあると、リアルタイムに解決し、効率を合理化するのに役立ちます。
このプランを作成するには、ガントチャートやタイムラインを使ってリスクを整理し、各リスクの対応プランを決定します。たとえば、素材が時間どおりに到着しないリスクがあるとすれば、素材を他の場所から調達するか、素材の到着を待つ間にプロジェクトの別の部分に着手するといったコンティンジェンシープランを立てるとよいでしょう。
こうした事前準備によって、予期せぬ事態が起きた際にも、冷静かつ柔軟に対応でき、プロジェクト全体の進行に無駄が生じるのを防ぐことができます。
プロのヒント: Asana を使えば、リストやタイムライン、ガントチャートを表示できるので、一層わかりやすくプロジェクト計画を視覚化できます。
最終ステップでは、チームのマイルストーン (プロジェクトの節目) を文書化します。これは、作業を予定どおりに完了させ、何か矛盾があれば簡単に特定できるようにする目的で行います。
これは、プロジェクトの関係者が情報や進捗状況を確認できるプロジェクト管理ソフトウェアを使って行います。こうしたマイルストーンは、各タスクを予定どおりに完了させるために、プロジェクトの最後まで管理し続けるとよいでしょう。
プロのヒント: タスクの依存関係を追跡し、確実に短期目標を達成できるよう、プロジェクトの関係者とは頻繁に連絡を取ります。
効果的なプロジェクトデザインを作成するには、経験豊富なプロジェクトマネージャーや専門家の知見を活用することが大切です。プロジェクトデザインプロセスを構成する 7 つのステップに加え、デザインを一歩前進させるヒントをいくつかご紹介します。
以下 3 つのヒントを意識しながら、独自のプロジェクトデザインを構築しましょう。
どのプロジェクトでも、鍵となるのはコミュニケーションです。プロジェクトの初期段階でコラボレーションを行えば、共通認識が生まれ、最も重要な目標を全員が理解できます。これは、プロジェクト全体を通じてミーティングを率先して開き、ワークフローを使ってチームワークを合理化することによって成し遂げましょう。
ワークマネジメントツール Asana なら、会議進行中に議事録をリアルタイムで取ることができます。今後のアクションアイテムやすぐにカバーしておきたいタスクなどはその場で作成し、担当者に割り振ることも可能です。時間を最大限有効に使うために、Asana を活用しましょう。
無料トライアルを始める目標をプロジェクト成果物につなげると、あらゆる段階で確実に目標を達成できます。これは、目標とその達成に必要な作業を簡単につなげられるタイムラインソフトウェアを使って行います。
たとえば Asana なら、目標達成に必要なタスクやマイルストーンを可視化でき、全員が進行状況を把握しやすくなります。
ビジネスケースや毎日の To-Do は便利ですが、視覚要素を使えば、関係者は全体像を把握しやすくなります。ガントチャートや PERT チャートなど、プロジェクトの作業を視覚化する手段はたくさんあります。
これら 3 つのヒントを活用するだけでなく、チームの都合を常に意識するようにしましょう。必要な情報を提供し、合理的な期限の中で作業をスケジューリングすれば、チームの意欲と作業効率を維持できます。
成功するプロジェクトを実行するにあたり、プロジェクトデザインは重要な役割を果たします。必要な情報やリソースの取集から、チームメンバーとの調整まで、詳細をフル活用することがあなたの仕事です。適切なプロジェクトデザインがあれば、あなたのチームはあらゆる事態に対応できるでしょう。
さらに、ワークマネジメントソフトウェアを活用することで、プロジェクト計画を次のレベルへと引き上げられます。Asana は作業の効率化と進捗の可視化を支援し、チームの透明性と自信を高め、より多くの目標達成をサポートします。
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