PDCA サイクル完全ガイド|意味、手順、成功事例まで徹底解説

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins
2025年8月13日
facebookx-twitterlinkedin
Plan (計画) - Do (実行) - Check (評価) - Act (改善) (PDCA) サイクルとは? 記事バナー画像
テンプレートを表示
デモを見る

概要

PDCA サイクルとは、Plan (計画)、Do (実行)、Check (評価)、Act (改善) の 4 段階を繰り返して、業務やプロセスを継続的に改善する手法です。

業務改善やプロジェクト管理で広く活用される PDCA サイクルについて、本記事ではその意味や起源から、4 つの手順、メリットとデメリット、他の改善フレームワークとの比較、そして成功事例までを網羅的に解説します。実務に落とし込むための活用ポイントも紹介しているので、継続的な改善プロセスを効果的に回し、チームや組織の成果を高めたい方に最適です。

更新: この記事は、PDCA の成功事例に関する記述を含めて 2025年 8月に更新されました。

改善のつもりが、気づけば同じ課題を繰り返していませんか?

それは、計画・実行・振り返り・改善の流れが仕組みとして定着していないからかもしれません。PDCA サイクルは、この「改善が続かない」問題を解決するシンプルな方法です。

Asana × Microsoftで非定型業務の効率化

Microsoft 製品と Asana の連携で、部門をまたぐ非定型業務の効率化を実現しましょう。活用法について、本ガイドで詳しく説明しています。

無料ダウンロード
Asana と Microsoft 製品の連携

PDCA サイクルとは?

PDCAとは、Plan、Do、Check、Action の頭文字を取った略語で、日本語では「計画」「実行」「評価」「改善」を意味します。これら 4 つのステップを順に実行し繰り返すことで、業務の改善や生産性の向上を図ります。最後の改善の後に再び計画に戻ることで、次のサイクルへ進み、継続的な成長が可能になります。この流れを「PDCA サイクル」と呼びます。

PDCA サイクルは、プロセスを改善し、変更や対策を実施するためのインタラクティブな問題解決および業務改善戦略です。一回限りの取り組みではなく、計画立案から実行、検証結果の分析、改善を繰り返す継続的なフィードバックループであり、ビジネスパーソンが仮説を立て、それを検証し、効果的な改善につなげることができます。適切な情報収集や数値化、目標の設定を行い、計画通りの進行状況を確認することで、取り組みが形骸化するのを防ぎます。

もともとは製造業における品質向上や顧客満足度向上のために広まり、日本企業をはじめ世界中の企業で活用されています。近年では、サービス業やスタートアップに加え、人材育成や新規顧客獲得のための行動計画にも応用されています。

記事: 知っておきたい 7 種類のプロセス改善手法

ビジネスシーンだけでなく、日常生活でも PDCA は活用できます。たとえば、寝坊を減らすために目覚ましをかける (計画)、スマホのアラームを設定する (実行)、アラームが鳴っても二度寝してしまう (評価)、スヌーズ機能をオンにして 5 分おきにアラームを鳴らす (改善) という流れも、立派な PDCA サイクルの一例です。

より効率的な働き方へ

「もっと効率よくプロジェクトを進めたい」「無駄な作業をしている気がする」「チームメンバーの足並みが揃わない」 。そんな悩みを Asana のプロジェクトマネジメント機能で解決しましょう。まずは無料でお試しください。

Asana を無料で試す

PDCA サイクルの起源

PDCA サイクルは、統計的品質管理の父とされるアメリカの統計学者で、物理学のバックグラウンドも持つウォルター・シューハートによって初めて提唱されました。1931年刊行の著書『Economic Control of Quality of Manufactured Product』で、経済的品質管理に科学的手法を適用する考え方を示しています。 

この理論は、同じくアメリカの統計学者 W・エドワーズ・デミングによってさらに発展しました。デミングはシューハートの考え方を品質管理だけでなくプロセス改善にも広げ、「シューハートサイクル」と呼びながら日本の技術者に講義を行いました。このサイクルは、日本における継続的改善 (カイゼン) の取り組みや、トヨタ生産方式、さらに後のリーン生産方式と相互に影響し合い、現在私たちが PDCA サイクルと呼ぶ形へと定着していきました。 

今日、PDCA サイクルは、リーンプロジェクト管理の一環として広く用いられています。

今日では、PDCA サイクルはリーンプロジェクト管理の一部としても広く活用されています。なお、この手法には以下のような別名があります。

  • Plan-Do-Check-Act サイクル、略して PDCA サイクル

  • デミングサイクル、またはデミングホイール

  • シューハートサイクル

  • 管理サイクル

  • Plan-Do-Study-Act サイクル、略して PDSA サイクル

記事: 日本の自動車産業が抱える課題とは?解決策と今後の動向

業務改善の PDCA をスムーズに進めるには、計画立案から進捗管理、検証結果の共有まで一元管理できるツールが有効です。Asana なら、KPI やタスクの数値化、情報収集、フィードバックの管理もすべて 1 か所で実現できます。今すぐ無料でアカウントを作成し、次のサイクルをより効果的に回しましょう。

無料で Asana を試す

PDCA を回す場面

PDCA サイクルは、プロジェクトマネジメントやプロセス改善における問題点へのアプローチ方法および解決方法のフレームワークです。そのため、幅広いプロジェクトで実施できます。

記事: 工程管理の基礎知識と効率的に行う方法を解説

PDCA を活用するチームは、継続的かつ効果的に改善要素を取り入れることができます。PDCA サイクルは、エンドツーエンドプロセスに使用するより、むしろ継続的な改善を保証し、反復プロセスを実装するために使用します。

PDCA は以下を必要とするケースに特に役立ちます。

  • 反復作業の合理化および改善

  • 新しい業務プロセスの開発

  • 継続的改善の開始

  • 変化を迅速に反復しすぐに結果を得る

  • エラーを最小化し結果を最大化

  • 複数の解決策の迅速な検証


リモートワークでも上手くチームのつながりを維持するのが、仕事のマネジメントソフトウェア Asana です。「誰が、いつまでに、何をやるのか」を明確にすることで、プロジェクトは円滑に進みます。Asana のすべての機能は無料トライアルで今すぐお試しいただけます。

Asana のプロジェクトマネジメント機能を試す

PDCA の手順は?4 つのステップを解説

PDCA プロセスの 4 つのフェーズには、それぞれ、計画、実行、評価、および改善の名前がつけられています。注目すべきはこのプロセスはサイクルであることで、最後の “アクション” プロセスに到達したら、最初からやり直すことができます。

1. 計画

すべてのプロセス改善またはプロジェクト計画の最初のステップは「何をする必要があるのか」を見つけること、つまり目標設定です。プロジェクト計画と同様に、PDCA の計画段階では、まず以下に挙げる項目を決定しましょう。

PDCA サイクルは、幅広いプロジェクトに適用できます。一からプロジェクトをスタートする場合でも、プロジェクトの品質改善手段として PDCA を使用する場合でも、プロジェクトを軌道に乗せるためには計画段階で時間をかけてしっかりとプランを立てるのが最適な方法です。 

PDCA はサイクルであることを覚えておきましょう。このサイクルは、何度も回すことになるでしょうから、最初のサイクルですべての改善策や改善案が出なくても大丈夫です。PDCA を回すたびに、プロジェクトプランがプロジェクト目標に対して最新かつ正確であるかを評価します。

記事: より効果的なプロジェクト計画をわずか 7 つのステップで作成

2. 実行

プロジェクト実行計画が固まったら、次のステップは実際に試すことです。PDCA では、他のリーンプロジェクト管理と同様、段階的に小さな変化を取り込んいきます。このステップは「試す」段階でもあるので、一度にすべてを行わずに、プロジェクト計画を小規模で実行し、その効果と結果をチェックします。

記事: 反復的なプロセスを理解する (実例付)

3. 評価

PDCA サイクルの Do フェーズで実施したテストが計画通りに進んでいるかを振り返り、確認します。多くの場合、ここで改善点は何かがわかります。見つかるのは小さな改善点かもしれません。しかしその小さな改善すべき点が大きな問題につながる可能性は十分にあります。そうなる前に早期アクションを取ることが重要です。 

必要に応じて、プロジェクト計画を再度見直しして、プロジェクトの目標達成ができているかを確認します。また、プロジェクト計画の変更の必要性に気づいた場合にも、スピーディに変更できるでしょう。

4. 改善

評価がすんだら、最終段階である「改善」フェーズに移動します。このフェーズでは、プロジェクト改善やプロセス改善を全面的に展開します。PDCA サイクルはサイクルであることを忘れないでください。必要ならば、計画フェーズに戻り、継続的な改善を試みます。

記事: 結果を出すアクションプランの作成方法
Asana パーフェクトガイド

世界中のトップ企業がこぞって実践! 唯一無二の AI ワークマネジメントプラットフォーム "Asana" とは?

Asana パーフェクトガイド

PDCA サイクルのメリットとデメリット

PDCA サイクルは、継続的改善のための強力なツールですが、このサイクルの使用にはいくつか短所もあります。ここでは、PDCA サイクルのメリットとデメリットをご紹介します。

PDCA のメリット

  • 継続的改善を始める機会を探しているチームに有用である。

  • あらゆるプロジェクトに対して使用できる柔軟な手法である。

  • 変更の迅速な実施と効果が確認できる。

  • PDCA を標準の業務手順として用いることで、プロジェクトマネジメントオフィス (PMO) を使用せずに組織全体の標準化の程度をアップさせる。

  • 実績のある継続的改善手法である。

PDCA のデメリット

  • PDCA サイクルを特に効果的にするには、企業のトップ層からの支援が必要である。

  • サイクルを何度も回さないと結果が得られない。サイクルを一度しか回さない計画の場合には、効果的な手法ではない。 

  • 実施と学習には時間を要する。

  • サイクルを何度も回すことが必要なため、緊急性の高いプロジェクトには不向きである。

PDCA を成功させるポイント

PDCA のサイクルを効果的に回し、目標を達成するためにはいくつかの成功要因を押さえることが重要です。ここでは、PDCA の成功要因と失敗の要因を踏まえた、実践的な回し方のポイントをご紹介します。

1. 明確な目標設定を心がける

PDCA を成功させるための第一歩は、具体的で測定可能な目標を設定することです。目標が曖昧だと、PDCA のサイクルがうまく機能しません。特に期限を設定することで、計画の進捗や評価がしやすくなり、効果的な改善につながります。

2. チーム内で効率的な情報共有を徹底する

PDCA は個人ではなく、チームで取り組むことが成功の鍵です。情報共有が不十分だと、サイクルの回し方が滞り、改善点の見落としや誤った判断を招く恐れがあります。定期的なミーティングや共有ツールの活用で、透明性の高いコミュニケーションを心がけましょう。

3. 振り返り文化を定着させる

PDCA の中でも特に重要なフェーズが「Check」と「Action」です。実行後の振り返りを習慣化し、検証結果をもとに改善策を立てることで、継続的な業務改善が実現します。この振り返り文化がないと、PDCA は形骸化し、失敗の要因となり得ます。


以上のポイントを押さえ、PDCA のサイクルを正しく回すことで、組織やチームの目標達成に近づけます。失敗要因を理解し、それを避けることもまた、PDCA を成功させるために欠かせない要素です。

あらゆる仕事の課題解決に、Asana。

仕事を最大限効率化し、チームの生産性を上げるためには、Asana のプロジェクトマネジメント機能をお試しください。日々の業務と目標をつなげ、「誰が・何を・いつまでに行うのか」を可視化します。

あらゆる仕事の課題を解決するソフトウェア Asana

他のフレームワークとの比較

PDCA は長年にわたり業務改善の基本として活用されてきましたが、近年「PDCA は古い」という声も聞かれるようになりました。その主な理由は、PDCA サイクルが完了するまでに時間を要することです。改善のスピード感が求められる現代のビジネス環境では、サイクルが遅すぎると効果が薄れてしまうこともあります。

そこで注目されているのが、OODA ループ (ウーダループ) というフレームワークです。OODA は、Observe (観察)、Orient (状況判断、方針決定)、Decide (意思決定)、Action (行動) の 4 つのステップからなり、PDCA よりも素早く意思決定と実行を繰り返せるのが特徴です。特に変化が激しい環境や緊急性の高い状況に適しています。

また、PDCA や OODA 以外にも、以下のようなフレームワークが存在します。

  • PDSA (Plan-Do-Study-Act): PDCA の変種で、「Check」の代わりに「Study (学習)」を入れ、より深い検証と学びに重点を置いています。

  • DMAIC (Define-Measure-Analyze-Improve-Control): シックスシグマで用いられる手法で、品質改善に特化し、数値データに基づく分析を重視しています。

これらのフレームワークは、PDCA の欠点を補いながら、よりスピーディで効果的な改善を目指すものです。自社の課題や環境に合わせて最適な手法を選ぶことが、持続的な業務改善を実現するカギとなります。

PDCA の成功事例

PDCA サイクルは多くの企業や組織で業務改善や品質向上に活用され、実際に効果をあげています。ここでは、代表的な成功事例を紹介します。

製造業における品質管理の改善

ある大手製造企業では、製品の不良率削減を目標に PDCA を導入しました。計画 (Plan) 段階で具体的な KPI を設定し、工程ごとに数値を収集。実行 (Do) では標準作業手順の見直しと従業員への教育を徹底しました。評価 (Check) で検証結果を分析し、不具合の原因を特定。改善 (Action) では工程の再設計を行い、次のサイクルへ反映させた結果、不良率が大幅に低下し顧客満足度も向上しました。

IT 企業でのプロジェクト管理の効率化

ある IT 企業では、新規サービス開発プロジェクトに PDCA を取り入れました。行動計画の明確化や情報共有の仕組みを整備し、プロジェクトの進捗を数値化。定期的に PDCA サイクルを回すことで、問題点の早期発見と改善が進み、納期遅延や品質低下を防ぎ、チームの生産性向上につながりました。

小売業での顧客満足度向上

全国に店舗を展開する小売チェーンでは、顧客満足度の向上を目指し PDCA を導入しました。店頭でのサービス改善策を計画し、スタッフへの研修や接客マニュアルの見直しを実施。評価段階では顧客アンケートや KPI を活用し、改善点を抽出し、改善策を現場に反映し続けたことで、リピーター率が上昇し売上増加に結びつきました。

【どなたでも参加可能】Asana イベント情報

Asana のイベントに参加して、プロジェクト管理や働き方改善、業務効率化に関する有益な情報を得ましょう。ツールを最大限効果的に使う方法も学ぶことができます。

Asana イベント

まとめ: PDCA を回して継続的な改善を実行する

PDCA サイクルとは何か、その意味とメリット、デメリット、実行ステップ、PDCA を成功させるヒントを解説しました。PDCA サイクルは、継続的改善と問題解決を実施する効果的な手法ですが、適材適所で用いるようにしましょう。

PDCA サイクルを最大限に活用するには、プロジェクト計画ツールを活用することがおすすめです。すべての従業員が使用する唯一のツールであれば、プロジェクトの運用や進捗管理も効率化し、仕事の生産性も上がります。ファイルやデータ、プロジェクト成果物の共有もスムーズにできる Asana のようなサポートツールをお選びください。

結果が出る業務改善ツールを導入する

PDCA に関するよくある質問

関連リソース

記事

従業員エンゲージメントを高めるには?チームの生産性を向上させる実践ガイド